2017年10月-この人のセニョ〜ム 齋藤 工さん

齋藤 工さん
映像をつくるなら“守り”ではいけない。
実験的なこと、チャレンジングなことに意味がある!

1981年8月22日生まれ、36歳。「斎藤工」名義で俳優、モデルとして活動。主な出演作品は映画『20世紀少年―最終章―』(監督/堤幸彦)、『抱きしめたい』(監督/塩田明彦)、『十三人の刺客』(監督/三池崇史)、『昼顔』(監督/西谷弘)など。長編映画初監督となる『blank13』がマレーシア・日本映画祭2017オープニング特別上映作品に選ばれ、来馬。セニョ~ムの単独インタビューに応じてくれました。

9月7日から10月1日まで、クランバレー、ペナン、クチン、コタキナバルの各地で開催された「日本映画祭2017」。第14回目となった今年は計14作品が上映されました。オープニング特別上映の時点からひときわ注目を集めたのが、齊藤工さんの初監督長編作品『blank13』。放送作家・はしもとこうじさんの実話をベースにした物語で、13年間音信不通だった父親の死をきっかけに、それまで家族の知らなかった顔が明らかになるというもの。
「はしもとさんはご自身のこども時代までさかのぼるつらい体験をジョークを交えて面白おかしく話してくれました。その時、ぼくも大切な人をきちんと理解できているだろうかという問いが浮かんできて、他人ごとでないと感じたんです。人を理解するにはただ真っすぐ向き合うだけでなく周りにいる、あるいはいた人の言葉などから輪郭が濃くなっていくことがあります。このような誰しも心当たりのある経験を、日本の葬儀という独特な空間の中に落とし込んだら、海外の人たちも興味をもってみてもらえる作品になるのではと思ったんです」。
作品は大きく回想シーンを中心とする前半と、葬儀の場でさまざまな人が思い出を語る後半に分かれています。見どころとなる後半部分はほぼアドリブで、齊藤さんはあらかじめ台本の1ページ目に「セリフを覚えてこないでください」と書いて出演者たちに配ったそうです。
「ぼくが映像をつくるなら〝守り〟になってはいけない。実験的なこと、チャレンジングなことをしなければ意味がないと自分に課しています。これまでの経験から台本で覚えたことを〝答合わせ〟のように再現するのでは、みる人の心は動かないという確信があります。役者が心から反応した瞬間を切り取る一つの手段としてドキュメンタリー的な手法を取り入れてみることにしたんです」。
結果としてこのアプローチは正解だったようで、作品をみた人たちからは「すごく悲しい気持ちになるところで笑ってしまった」「物語が終わってから残る印象がさらに深まる効果を与えている」といった声が聞かれました。
今回が初来馬という齊藤さん。マレーシアの印象を尋ねると、「いろいろな文化をアレンジするところが日本と似ている。マレーシア人と共同で作品をつくってみたい」と話してくれました。早くも次の作品に期待してしまいます。

2017/09/25 | カテゴリー:この人のセニョ~ム

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