2019年11月-この人のセニョ〜ム 塩見 正道さん

塩見 正道さん
公邸料理人から、料理人、ソムリエ、経営者の
三足のわらじを履く一国一城の主へ

「葡萄酒百味処 紫音」オーナーシェフで、日本ソムリエ協会認定のソムリエ。大阪府摂津市出身。高校卒業後に大学へ進学するも3年時で中退し、現在のエコール辻・大阪でフランス料理を専攻。大阪のフランス料理店で3年間働いた後に1年間、世界放浪の旅に出る。帰国後はホテルに入社。3年後の2001年に公邸料理人として、インドネシアのマカッサル総領事館、翌年はパプアニューギニア日本大使館に勤務。2007年に来馬し「洋食紅音」を、2013年に「紫音」を開業。

本誌でワインのコラム「ぶどう酒百味旅」を連載中の塩見正道さん。KL郊外のアラ・ダマンサラで、ワインを楽しむレストラン「紫音(しおん)」を開業して6年が経つ。周りは車の修理工場やローカルレストランしかない、どローカルな商業地区。はっきり言って立地は良くない、目立つ看板もない、しかも2階。なのになぜか客が集まる不思議な店だ。しかし今から6年前、多くの客に惜しまれながらも閉店した洋食の繁盛店「紅音(あかね)」をやっていたシェフの店だと知れば、納得がいく。紫音は「紅音の塩見」の店で、さらに塩見さんのワインへの愛をいっぱい詰め込んだ結果、紅音時代の客はもちろん、ワインにはうるさいローカル客までもが通う店に。なんだか急に、塩見さんのこれまでの道のりが知りたくなってきた。
「調理師学校を卒業後に、フレンチシェフ第一世代の一人、渋谷圭紀氏の『ラ・ベカス』で働きましたが、1年半で音を上げて。正直、自分とは次元が違うと思った。偏差値でいえばラ・ベカスは70、僕は50」。その後、料理人としての新たな道を探す旅に出る。行った先はNZ、ヨーロッパ、アジアなど十数ヵ国。ブドウの収穫時期だったイタリアやフランス、スペインでは、数々のワイナリーを訪ね回った。「ワインの魅力に憑りつかれてしまい、この時『料理人として世界が見たい』という気持ちが湧き上がったのを覚えています」。
帰国後は技術をつけるために修業を積んだ。3年間という期限も定めた。「時間がもったいないと、早朝3時から7時までは中央卸売市場の工場で魚をさばき、家に帰って2時間ほど寝たら今度はホテルの仕事という生活を続けました」。
こうして3年を迎える頃に公邸料理人の求職登録をしたところ、インドネシアのマカッサル総領事館からオファーがきた。公邸料理人としてのキャリアがスタートする。1年後には総領事がパプアニューギニア大使になったのに伴い、総領事から絶大の信頼を受けていた塩見さんもパプアニューギニアへ同行した。
公邸料理人は「味の外交官」とも言われる。「毎回、会食の目的やお招きするゲストも違います。各ゲストを最大限にもてなすために、メニュー作成から買い出し、仕込み、料理、セッティングなど一人で取り仕切っていました」。そんな経験があってこそ紅音が誕生し今の紫音が存在する。「料理人とソムリエ、経営者の三足のわらじで頑張っていきたい」と語る。

2019/11/01 | カテゴリー:この人のセニョ~ム

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