わくわく!マレー語の暮らし - sedap スダッ(プ) = 美味しい

sedap スダッ(プ) = 美味しい

夫の田舎はクアラルンプールから車で5時間くらいの所にあります。マレー語でkampung(カンポン※1)と呼ばれる集落には、小学校、モスク、小さな日用品店が一軒あるだけで、道端にはランブータンがたわわに実り、鶏が闊歩しています。買い物などは20キロ近く離れた小さな町まで出ます。夫は中学校からその町で寮生活だったそうです。
田舎の家は、シンプルに大きな居間がドーン、奥に台所がドーン、そして小さな部屋が3つほど。居間にある家具はいたってシンプル、壁ぎわにソファーが並んでいて(柄は派手)、あとはテレビがあるだけ。大人数で食事をする時は、居間の床に食器をじかに置いて、床に座って食べます。食事が終わるとソファーに座って、テレビを見ながらくつろいだりします。
ある時、布製の新しいソファーが仲間入りしました。そこに座った義姉が「sedap」と気持ちよさそうに一言。そう、sedapは「美味しい」という意味ですが、それだけではないのです。マッサージをしてもらって「気持ちいい」とか、上手なコーランの朗誦を聞いて「(耳に)心地よい」とか、台所からカレーの匂いが漂ってきて「美味しそうな匂い」とか、心地よい感覚を表現するときにも使うのです。
ちょっと発音の話もしましょう。あれは結婚式の直後だったと思いますが、田舎の家で何か食べていて私が拙いマレー語で「すだっぷ!」と言ったら、親戚のおばちゃんが教えてくれました。「pu(ぷ)」じゃないのよ、と。そこで「すだっ!」と言ってみたら、おばちゃん一生懸命に「すだっ」の後に上唇と下唇を合わせて、そこにはささやくような「p(プ)」がありました。喩えるならスイカの種を静かに飛ばす時のような音かな。その時のおばちゃんの顔が忘れられず、今回のタイトルは苦肉の策ですが「スダッ(プ)」と記してみました。
否定形は「tak sedap(タッ スダップ)=美味しくない」となります。日本語では「美味しくない」と「まずい」は意味するところの度合いが異なりますが、マレー語に「まずい」という言葉はありません。その代わり、本当にまずい時は「tak sedap」と言う時の表情や言い方が大げさです。おばちゃんがワサビを食べた時の顔も忘れられません。

 

2019/03/01 | カテゴリー:わくわく!マレー語の暮らし

このページの先頭へ