2018年11月-「しっかりと」は癇に障る 

「しっかりと」は癇に障る 

言葉はうつる、伝染する。それは仕方がない。同じ環境・空間に長くいる人が頻繁に使う言葉は、どうしたってうつる。仲の良い友人や恋人同士なら当然あると思う。知らないうちに話し相手の口癖を自分でも使っていることに気付き、ハットとしたことはないか。でも友人や恋人の言葉なら、嫌な気にはならない。
しかし嫌いな人の口癖がうつれば、不快に感じるはず。例えばわが宰相、安倍晋三首相となるとどうか。彼を支持するかどうか立場によって感じ方は違うだろう。反安部を売りにする新聞の6月の報道によると、彼がこの6年、国会答弁で使った口癖は「まさに」「いわば」など六つ。「まさに」も気になっていたが、最も癇に障る彼の口癖は「しっかりと」。
あるデータベースで調べたら、彼がこの一年「しっかりと」を使った記事は224件もあった。例えば、「安倍首相は『しっかりと次の時代の日ロ関係を築き上げていく』と述べた」。これは不自然とは言えない用法かもしれない。だが「首相は『政府与党がこれまで以上にしっかりと連携し、結果を出すことで国民の負託に応えたい』と強調。菅官房長官も『しっかりと結果を出せるよう臨みたい』」と連発されると、さすがにウザい。政治部記者にも伝播しているに違いない。
新聞やTVを通じて広がる首相発言の多くは、公的な場の「かみしも発言」と受け取られる。だからTVなどでインタビューを受ける人々にもうつる。「公の場」で使うべき言葉として、刷り込まれているからだろう。右肘手術を受けた米大リーグ、エンゼルス大谷翔平は「しっかりとリハビリも含めて頑張っていきたい」。よい子の「かみしも発言」。
少し驚いたのは次の記事だ。「安倍氏は8月22日、トランプ大統領との電話会談後、『トランプ氏からは、しっかりと日本の考え方に沿って協力していくという話があった』」。へーっ、トランプも「しっかりと」って言うんだ。でも、日本語で言ったわけじゃないよね。通訳がそう訳したか、それとも安倍氏が口癖で読み替えたかどちらかだろう。英語で何と言ったのか、ぜひ知りたいところだ。
米軍の普天満基地の辺野古移設に反対し死去した沖縄の翁長雄志・前知事の県民葬(10月9日)で、安倍氏の追悼メッセージが読み上げられた。
「翁長氏は文字通り、命懸けで沖縄の発展のために尽くしてこられた。これまでのご功績に心から敬意を表する。政府としても翁長氏の沖縄に懸ける思いをしっかりと受け止め、沖縄の振興を前に進めていくと誓う」。「巧言令色」の見本のような原稿だ。
メッセージを代読する菅官房長官に、「ウソツキ!」「帰れー」と、次々と罵声が浴びせられたのはよく知られている。(了)

オットット爺や

2018/10/29 | カテゴリー:オットット爺やのつぶやき

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