2010年2月-裏道人生、ギリシア・ローマ神話

×月某日

今月初めまで9日間、富士通によるサバ州での植林を受け入れて、今は骨休みである。植林期間中、2日続けて、雲の動きから雨の到来を予測して早目に切り上げてもらい、それが的中したので、参加者たちから感謝された。長年の農業指導と植林の経験の賜物だが、この国際協力ボランティア人生というのも、随分世間の一般の人生から外れてしまった。

そんな私より、もっと外れた人生を送った宮崎学の『突破者(とっぱもの)』(新潮文庫)は読み易い。京都のヤクザの親分の子供だった筆者は、全共闘時代に早大に籍を置きながら、全共闘と対立する日本共産党系学生団体の裏の暴力組織に属して暴れ回った。中退後は『週刊現代』の記者となり、その後家業の解体屋を継いで、資金繰りのために数々の危ない橋を渡る。そして、「グリコ・森永事件」の犯人の「キツネ目の男」とみなされて苦労するなど、痛快な人生を送った。同じはみだし者の私ない。

×月某日

コタ・キナバルは今でこそ人口35万人の都会だが、私が農業指導員として最初に来た27年前は、小さな泥臭い町だった。今でもちょっと町を外れると田舎の風景になる。町の変貌に伴って、当時はギラギラして若かった27歳の私も、今は50代半ばの枯れた初老の親父に変身してしまった。ちょうど人生の半分を、東南アジアで過ごしたことになる。

さて、変身に関わる話が多いのがギリシア神話であり、ローマ帝国時代のオウィディウスが著した『変身物語』(岩波文庫)には、最高神ユピテル(ゼウス)をはじめ、多くの神々や巨人、阪神・・・じゃなかった、半神たちが、ニンフ(妖精)を犯すために、或いはそれから逃れるために、または罰を与えられたりして変身する話に満ちている。有名な、自分に恋をしたナルシスの話も無論出てくるし、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の話の元になったらしい、バビロニアの悲劇の恋人たちの話も出てくる。鳥や木に変身する話が多いが、サバ州で植林を続けている私も、いずれ熱帯雨林の一のにるも?

×月某日

在コタ・キナバル日本国総領事館の「草の根無償資金協力事業」による、サバ州北部の村での簡易水道敷設事業の引渡し式に立ち会う。この村では10年前から、日本の木材関係会社の親睦組織を私が率いて植林している。以前の村が手狭になって新しくできた村だが、切実な水の問題につき、私が申請を手伝ったので、今日引渡し式を迎えて感慨無量である。

引渡し式が終了して、キリスト教徒の村人たちが勧める酒を断るのに苦労した。ところで、酒と同じような陶酔感を与える幻覚植物のある種は、人類の抽象思考の発生を促し、宗教の発生

の原因になっている可能性があると論じているのが、「神々の指紋」で有名なグラハム・ハンコック著『異次元の刻印』(バジリコ社)である。この見解は多くの研究者が唱えており、その発生時期は世界中の洞窟壁画などの考古学証拠から約5万年前としている。私も、その方面のいろいろな読書で得た知見から、ありうることだと思っている。

関連記事

コメントは利用できません。

アーカイブ

ページ上部へ戻る