2011年4月-化学物質による環境汚染、地獄の様相、人生への違和感

X月某日

 先月から始めた完全禁酒禁煙 が一ヵ月半を超えた。近年の体の異常の自覚や、周りで禁酒禁煙 を始める人の増加で励まされた。 元々禁欲生活は苦にならず、禁断 症状はないどころか、最近顔に艶が出てきたと言われ、少女みたいに喜んでいる。今更ながら、喫煙していた数十年間、排煙、吸殻、包装のゴミ等で、だいぶ環境を汚染したと反省している。

 環境問題のバイブルとされる レイチェル・カーソンの『沈黙の春』(新潮文庫)は、環境問題の啓蒙書と言うより科学論文であっ て、1960年代に米国で使用 されていた農薬等の化学薬品名称とその毒性がズラズラズラと記述されていて、私みたいな文系親父 にとっては、決して読み易い本ではない。この本は米国ではケネディ大統領を動かすほどに影響を 与え、日本でも、1970年代の公害問題の論文や報告書・記事等に、彼女が与えた影響を知ることができる。彼女は早死にして、死後になって評価された、辛いが 価値ある人生を送った。

×月某日

 エジプトやリビアの中東諸国が大変な事態になった。リビアの カダフィ大佐は、1969年に27 歳の若さで無血クーデターを成功させてから 41 年間も最高権力者だった。彼は変人扱いされていたが、国際政治への影響力は強く、1973年のオイル・ショックは、彼によるリビアでの石油産業国有化の成功が、他の産油国を刺激して引き起こされたものだった。

 KLのリビア大使館へのデモで「カダフィは地獄へ行け」というプラカードを持った参加者がいたが、実際の地獄の様子を、ウィ ルソン・ヴァン・デュセン『霊感者 スウェデンブルグ』(日本教文社)で見よう。スウェデンブルグ(スウェデンボリ)は、18 世紀最大の科学者であり、あの世とこの世を自由に往復して『霊界日記』 などの著作を残したオカルト界の巨人でもある。彼の著作は厖大で 難解なので、こういう解説書に頼る。彼によれば、あの世とこの世は裏表の関係であり、地獄とは死者の狭くて利己的な観念が投影さ れた世界であり、天国への道を自ら閉ざしていると言う。心を広くもたねば地獄へ行くわけだ。

×月某日

 サバ州最北部の村と中学校で、今年13 年目となる、日本の木材関係業界の親睦会に属する各社の重役たち15 名による植林を、今年も無事に終えた。ほとんどの参加者がリピーターで、私も彼らと共に齢を重ねた。この世での勝ち組とも言える、同じ世代の参加者たちと話をすると、つくづく自分が一般と外れた人生を送ってきたことを思わざるを得ない。

 私がNGOやボランティアの世界に身を投じたり、共産主義に共感したりしたのは、いい大学からいい会社へという、親が押し付ける価値観に反発したからであり、そういう、この世への違和感を持つ人間の心理を扱ったのが、 コリン・ウィルソン『アウトサイダー』(集英社文庫)であり、ド フトエフスキーやサルトル、カ ミュなどの小説から、そういう人間の本性に迫ろうとしている。文章は難しいのだが、私は身につまされる思いがした。同時に、同じような違和感を持って生きている人間が多くいることを知って心強く感じた。

三好良一

関連記事

コメントは利用できません。

アーカイブ

ページ上部へ戻る