2014年3月−満洲ツングース族の中国征服、万病を癒す史上最高の奇跡、貪欲なマネー経済からの転換

月某日

dokusho 我が家の近くに、サバ州で一番おいしい飲茶レストランがあり、日本人を連れて行くと、皆喜んでくれる。この店に、中国の清王朝12代の歴代皇帝の肖像画が掲げられていて、初めての客にいつも説明している。後年に日本軍が建国した満洲国の皇帝に擁立されたラスト・エンペラーの宣統帝溥儀(プーイー)だけが、即位した幼少時の写真になっている。

サバ州の中国系人の多くは客家で、1840年の阿片戦争以後の移民の子孫である。清王朝は、日本の江戸時代初期に、現在の中国東北部のツングース族が人口50〜60万人で約2〜3億人の中国本土を征服して建国し、明治時代の終焉と同時期まで約280年間栄えた。司馬遼太郎著『韃靼疾風録』(中公文庫:上下)は、平戸の一下級武士が、漂着してきた満洲貴族の娘を送り返して現地に数十年留まり、明王朝の滅亡と清王朝の勃興を見届け、鎖国中の日本に苦労して帰る物語を、北方異民族の習俗も交えて描く壮大な歴史小説である。

X月某日

昨年8月の脳出血で死に損ねて以来、死後の生、臨死体験、輪廻転生などの、死に関する本を再読しており、宗教的奇跡を扱った本もいろいろ読んでいるが、久保田八郎著『ルールドの奇跡』(学研)に書かれている、dokusho2スペイン国境近くのフランスの小さな町ルールド(Lourdes)で約150年間、世界中の重症患者を治癒し続けている奇跡は本当に驚異だ。

明治維新の10年前の1858年、当時14歳の少女ベルナデット・スビルーは、町外れの川の近くで、彼女にだけ姿が見える、後年に聖母マリアと解釈された霊的存在の貴婦人と数回会い、指示されて手で掘った地面から泉が湧いてきた。その泉の水を飲んだり全身を浸けたりすると、重病や重傷の患者が忽たちまち治癒する奇跡が相次ぎ、その泉は聖地とされ、世界中から来る大勢の人たちの約半数が治癒し、ベルナデットも聖人に列せられた。そこでは、治癒した患者たちが不要になって残していった松葉杖や車椅子が山と積まれている。私はどの既成宗教も信じないが、霊的存在は信じている。瓶に入れた泉の水を少量飲んで治癒した日本の少年の例もあるようだから、何とかして入手できないかなと思案している。

X月某日

dokusho3 サバ州は、私が初めて来た30年前は、主に日本を取引先とする原木輸出で栄えた良き時代が過ぎた頃で、1986年に原木輸出が禁止されて以後は、油ヤシ(オイル・パーム)とエコ・ツアーによる経済再生を図り、それがうまくいって、現在は貧しかった昔が信じられないほどに豊かになった。しかしそれは、コタ・キナバルなどの大都市周辺だけの話だ。

農村部にも経済の恩恵は多少及んでいるとはいえ、ゴム液採取を唯一の収入源とする奥地の農村の生活は、相変わらず苦しい。しかし、彼らは金がなくても表情は明るく幸福そうだ。優勝劣敗と金儲けを至上の価値として現在世界を覆っている、いわゆるマネー経済とは対極の世界だ。日本の中国地方の過疎地帯でも、同様な生活があることを、藻谷浩介・NHK広島取材班の『里山資本主義』(角川oneテーマ21)が教えてくれる。しかし、食料や水の自給が可能な場合の生き方であり、現代文明滅亡後の都市での生活は難しいと思う。

三好良一

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