2016年1月−日本の文化の原点である室町時代、ベンダー・ミステリー、昭和は遠くなりにけり

群馬県労働者福祉協議会の植林も無事に終えた。今年でボルネオ島での植林は10回目、これで打ち止めになる。参加者たちはサバ州農村での濁どぶろく酒を存分に堪能した。

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dokusho サバ州も、日本の古代文化との共通性が多い照葉樹林帯に属しているから、なれ寿司や酒類などの発酵食品が定着している。山崎正和『室町記』(講談社文庫)によれば、発酵食品を含む日本料理、着物、建築様式などの、今日日本文化の精髄とされる様式のほとんどが、室町時代に現れ、定着した。室町時代には中央政権に力がなく、京都には戦乱が絶えなかった。そのために貴族が没落して、地方に流れて行く者が多く、彼らが京都文化を地方に広めた。

地方では下の階層が主導権を握って社会を動かし、物品の流通が盛んになり、商業が栄えた。つまり、社会の対流が非常に活発になった。司馬遼太郎は、平安時代は日本の歴史とは思えず、室町時代から日本史が始まると書いていたが、鎌倉幕府の武家政権による統治を経て貴族文化と武家文化がほどよくミックスされたのが今日に伝わる日本文化というわけだ。

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世界中で天変地異が頻発して世の終わりが来るという新約聖書ヨハネの黙示録が成就しそうだ。ヨハネは神から終末の情景を見せられたが、UFO史上名高いベンダー・ミステリーとなったアルバート・K・ベンダーの『宇宙人第0の遭遇』(徳間書房)では、ベンダーが宇宙人から神は存在せず、キリストは狭い地域の騒動が大きく誇張されたものだと告げられる。

地球に来ている宇宙人は現在約80種類もいるが、この本の書かれた1950〜60年代に来ていた宇宙人は南極に秘密基地をもち、種族の生存に必要な地球の海水の不純物を採取していた。UFOの世界的情報誌の発行人のベンダーに秘密を暴露されないよう、超常現象的方法で脅していた。いつも全身黒ずくめの3人の男たちが脅しに来るので、Men in Blackという言葉を生んだ。UFOが去って恐怖から解放されたが、夫婦ともども行方不明になってしまった。

X月某日

dokusho3 昭和天皇が死亡した1989年に、タイミングを合わせたかのように出現したのが寺崎英成記録『昭和天皇独白録』(文春文庫)だった。戦前は現人神、戦後は象徴として個人的見解を述べることを抑えていた昭和天皇だが、東京裁判が開かれようとする1946(昭和21)年に自身が訴追されようとする危険を感じて、側近たちに弁護資料を用意させたのだった。結局、訴追を免れ、記録者の妻の居住する米国で保管されていたのが、天皇死去後に出てきた。

優柔不断の近衛文麿や国際情勢に疎い平沼騏一郎の両元首相、ドイツに取り込まれた松岡洋介元外相、天皇が首相就任を拒否した宇垣一成陸軍大将らに対する辛口の感慨が面白い。昭和天皇は就任時はまだ20代半ばで若く、重臣連中からは軽く見られていた。昭和3年の張作霖爆殺事件で田中儀一首相を強く責めて、彼を死に追い込んだ反省から、自分の意見を言わぬようにしていたが、昭和11年の二・二六事件と昭和20年の連合国への降伏の際は主導権を握った。二・二六事件の黒幕の北一輝に「若殿に 兜取られて 負けいくさ」とわせたほどだ。

三好良一

2016/01/08 | カテゴリー:コタキナバル読書日記

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