2016年11月−16文キックで世界を制覇、 変人天皇のクーデター

4年後の2020年に日本では1964年に次いで2度目の夏季オリンピックが東京で開かれるらしいが、スポーツに興味のない私にはまったく関係のないことだし、放射能問題があるから開催は返上すべきだと考えている。

 

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先般紹介した『鉄人ルー・テーズ自伝』に続いて、オールドプロレスファンである私を喜ばせる本がもう1冊出た。柳澤健の『1964年のジャイアント馬場』(双葉社)がそれで、2メートル9センチという、プロレスラーとしては恵まれた体格と発達した運動神経で何度か世界王座についた馬場正平ことジャイアント馬場の生涯を描いた本である。
私は別に彼のファンではなかったが、浅薄なパフォーマンスの多い猪木に比べればはるかにましである。
馬場の活躍については、私の中学生時代に梶原一騎原作、辻なおき作画の漫画が連載されていた。『巨人の星』などのスポ根主義の梶原の美学が盛り込まれていて、1964年の馬場の師匠の力道山の死亡に対し、馬場はあくまで力道山の忠実な弟子として描かれていた。しかし実は、力道山や猪木などの日本人レスラーがアメリカでは二流の前座でしかなかったのに対し、馬場は日系としては唯一の堂々たるメインイベンターであり、日系の悪役でプロモーターであるグレート東郷は、現在の金額で5~6億円という破格のギャラを提示した。
馬事は賢明にも、日本マーケットの将来を見越し、力道山死後に権力を握った豊登ら四人組を追い出して日本プロレスの経営権を握り、プロモーター業も無難にこなして、日本プロレスを隆盛に導いた。
先日、馬場の出身地の新潟県三条市議会の発議で、馬場を名誉新潟県民か名誉三条市民として顕彰することが決まったそうだが、私としてもうれしいことだ。

 

87dokusho-ad2382a35d079bf30acd2a3c28e67ef875218405_lX月某日

平安から室町にかけての中世日本の歴史を、穢多・非人や放浪の芸能民、聖職者などの社会の最底辺の民の視点から見た歴史に読み直す作業をしている網野善彦の『異形の王権』は、鎌倉幕府を倒して南北朝時代を経て室町時代へ移行させた後醍醐天皇を扱った本である。
鎌倉幕府を動かしていた北条氏は、当初こそ有能で清潔な統治者が続いていたが、第14代の北条高塒の治世には、衰えが目立ってきた。河内の土豪の楠正成が、河内の国の赤坂城や山城の国の千早城に籠って北条方の大軍を相手にゲリラ戦を戦い、足利尊氏や新田義貞らも奮戦すると、北条幕府は1333年に滅んだ。
この過程で、後醍醐天皇は、真言宗の僧・文観に師事し、男女のセックスを菩薩の道とする立川流の加持祈祷を自ら行った。天皇は、中国の宋の皇帝の専制政治に憧れて、霊力を増そうと意図したのだろう。しかし、鎌倉幕府を倒して苦労して実現した建武の新政だったが、武家と公家の間の意見の対立のため、数年で潰え去り、その後約60年間続く南北朝時代に突入した。建武の新政の時期、都には大量の下層民が流入し、一気に風紀が乱れていた。そして、日本社会の対流がよくなり、現代に続く日本文化の基礎を築いたのだった。


三好良一

2016/11/06 | カテゴリー:コタキナバル読書日記

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