2016年5月−南十字星はどこに?  懐かしい昔話、人間の死肉を食らう葛

今はほとんどの日本人が、南十字星のあり場所を知らないだろう。さそり座が見えたら、鋏の形をした三つ星から、その長さの5つ分を右側に延長して行った地点に、それがある。

81Dokusho-時間と宇宙についてX月某日

現在の北半球の星座名はメソポタミア人やギリシア人がつけたのだが、彼らは天体と地球の地理的観測を熱心に進め、赤道や黄道、子午線、緯線を定め、それらの事実を基にして60進法を基礎に時間の単位を定めた。アイザック・アシモフの『時間と宇宙について』(ハヤカワ文庫)では、その科学的認識の歴史や、暦の成り立ちなどを分かりやすく説明している。
私たちは現在、太陽暦を使っているが、元々採用されていたのは太陰暦だった。実際、古代人にとっては、月の満ち欠けが時間の経過を計るのに最も都合がよかったのだが、地球の公転や自転周期と月の地球を巡る公転周期のずれが大きくなって実態に合わなくなり、閏年を入れたりして何度か訂正し、最終的に1582年にローマ教皇グレゴリウス13世がユリウス暦を改定したのが、現在使われている太陽暦である。イスラム暦は太陰暦のために、今でも毎年太陽暦から11日ずれる。中国暦は毎年太陽暦と補正してずれるのを防いでいる。

 

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X月某日

人類が滅亡する要因としては、戦争、火山噴火、大地震、大津波、放射能、大疫病、彗星衝突等の外部要因の他に、人類自体が長年摂取してきた水や空気、食品などの環境汚染という内部要因がある。既に1960年代に、奇形出産が増えていて、同じ頃に人間が与えた餌で奇形で生まれた猿の例もある。15年ほど前に中国・上海で、抗生物質を投与した上海蟹を母親が娘に食わせていたところ、娘は2歳で第二次性徴が始まり、4歳で生理が始まった例もある。こういう事例は今後増えていくだろう。

私は大学生の頃、出回り出したカップ麺に本能的に危険を感じ、今に至るまでほとんど食べたことがない。島田庄司『世紀末日本紀行』(徳間文庫)では、奇形の人間や動物、ゴミや放射性物質の違法投棄などの写真が満載だ。印象的なのは、再流行した梅毒で死亡した患者の生々しいデスマスク、巨大タンカーに積んで太平洋に流す排泄物の写真である。

 


81Dokusho-骨峨見峠死人蔓X月某日

野坂昭如『骨餓身峠死人葛』(岩波現代文庫)は、前々号に書いた通り、私は彼の最高傑作だと思っている。解説の松本健一が言うように、生の裏の死と繁栄の裏の廃墟を鋭く見抜く彼のシニカルな視点が空恐ろしくなる。物語は、昭和の始めに四国から北長崎に流れてきた炭鉱夫が炭鉱を開いたが、その娘が墓の卒塔婆に巻き付いて咲く白い花が綺麗だと、兄に自分の身を捧げてまでして、たくさん摘んでもらう。実はその花は、炭鉱で死んだ鉱夫や妻たちが不倫で生んだ赤ん坊らの土饅頭と卒塔婆に巻き付いて屍体の養分を吸い取って大きくなり、花が落ちたら鶏卵大の白い実ができる。それを食った朝鮮人労働者は体力がつき、連合軍捕虜を圧倒して虐殺する。戦後、採炭は続けられたが、そのうち会社は潰れ、労働者たちは死人葛を食って生き延びるが、弱肉強食の地獄となって近親相姦や乱交が当たり前となり、やがて住民は死に絶え、ダムが開門して彼らの死体もすべて流された。

 

三好良一

2016/05/01 | カテゴリー:コタキナバル読書日記

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