2016年9月−ホームレスが販売する ホームレスの雑誌、 古代の倭国

6月半ばに退院してから自宅療養しているが、冷房地獄、早朝だろうが真夜中だろうが時間を構わず行う血糖と血圧の痛い検査から脱したことで、随分と気が楽になった。ただし、相変わらず経管栄養法のために鼻から胃へチューブを通されて流動食を流されるので、普通の飲食ができずにいる。この状態は9月まで続きそうだ。

 

The-Big-Issue-July-2015X月某日
金沢の知人が年に一度、ホームレスの人が自ら路上で販売しているホームレスの雑誌『ビッグ・イシュー』を送ってくる。現在、世界中でホームレス人口は約1億人、日本では約6500人に達しているが、そのホームレスを支援するために、販売額の約半額が販売したホームレスの当人の収入となる仕組みのストリート・ペーパーは、世界中で様々な名前で売られている。
日本の『ビッグ・イシュー』は隔週刊で、県庁所在地などの大きめの都会で売られており、販売員の仕事で惨めな境遇を脱した人は多い。日本の『ビッグ・イシュー』はイギリスのホームレス向け雑誌の傘下にある関係で、英米のスターへのインタビューが毎号2~3ページほどある。しかし、それ以外は環境、原発、障碍者、密猟などの、私が関心をもつ時事問題が取り上げられている。
それにしても、大相撲で優勝したモンゴル人力士には莫大な金が与えられるのに、小泉政権以来増え続けるホームレスには冷たい日本社会の現状は何とかならないものか。さりながら、1987年に新婚旅行も兼ねて初めて来日して新宿西口を通った際に、ズラッと並んだ段ボール・ハウスにカラーテレビやラジカセがあるのを見た妻が、日本のホームレスの豊かさに驚いていたものだが、世界基準からして日本のホームレスの悲惨さは相対的に低いとは言える。

魏志倭人伝X月某日

日本最古の史書とされる古事記や日本書紀は8世紀の作で、それ以前の日本の状態を知ろうとしたら、中国の史書に頼るしかない。それをまとめたのが、和田清・石原道博による『魏志倭人伝・後漢書倭国伝・宋書倭国伝・隋書倭国伝』である。これは、後漢から三国志の魏、南北朝の南朝の宋、そして隋に至る各王朝史である。このうち、卑弥呼のことが書かれてあるので有名な魏志倭人伝は、3世紀末に書かれた。それによれば、3世紀の倭国は100余国に分かれ、約40年間分裂状態だった。そこで国々が話し合って巫女の卑弥呼を女王に立てて、ようやく分裂状態が収まり、邪馬台国の成立を見た。実際には邪馬台の台の字は誤りで、本当は邪馬壱国だという説もある。また、卑弥呼というのは人名ではなく官職名らしい。
この邪馬台国の位置をめぐる記述が曖昧なために、その位置を巡って、畿内説と九州説が対立しているが、1980年代後半の吉野ヶ里遺跡により、俄然九州説が有力になっている。私は九州出身だというほかに、朝鮮に近いという位置関係や遺跡の出土状況などから総合的に判断して、九州説を支持している。
やがて南の狗奴国と戦争の最中に卑弥呼は死に、少女の壱与が後を継いだが、その後約150年間、倭国の記事はなく「謎の4世紀」と呼ばれている。5世紀に各王朝史に倭国の記述が現れてくるが、それは倭の五王、つまり讃(履中)、珍(反正)、済(允恭)、興(安康)、武(雄略)の各天皇が各王朝に朝貢し、いろいろな称号を与えられたことが分かる。この五王は応神・仁徳天皇の子孫であり、大和朝廷が日本国の統治者となったことを示す証拠だ。


三好良一

2016/09/04 | カテゴリー:コタキナバル読書日記

このページの先頭へ