2017年2月−国際人道援助の裏、 中国の文化大革命時に 横行した人肉食

ケランタン州は観光名所が多い。国境の町ランタウ・パンジャンから徒歩でタイ領スンガイ・ゴロックに行くのもいい。私は20年近く前に、マレーシア側の警察副所長と、幅約5メートルの国境の川をボートに乗り、パスポートなしで堂々と「密入国」したことがある。その目的は、植林道具が安いタイ国で購入するためだったが、全経費を考えると変わりはないので、結局「密入国」は1回限りで終わった。

X月某日
世界には、人道的支援活動を行っている多くの団体がある。国際赤十字/赤新月、UNICEF(国連児童基金)、WFP(世界食糧機構)、国境なき医師団等大手や、その他の中小の各団体だ。これら中小の団体は、大きな団体から予算の配分を受けたり、広く世間から寄付を募ったりしている。
オランダの女性ジャーナリストのリンダ・ポルマンの『クライシス・キャラバン』(東洋経済新報社)は、ルアンダ、カンボディア、ユーゴスラヴィア、エティオピアなどの紛争地帯を飛び回って各国で人道援助団体の関係者に取材し、これら各人道援助団体間の角逐について述べたルポルタージュである。人道援助団体が活動している国々のなかには内戦中の国もあり、ダイヤモンドなどの利権を巡って内戦当事者がライバルの機関を出し抜き、自分の機関に利益をもたらそうとして様々な駆け引きを演じている。
国際人道援助団体による車椅子などの寄贈品が実際は現地では複数の機関から寄贈されていて、内戦当事者がそれを民間業者などに売り払って利益を得ようとする。それでも国際人道援助団体は、支援者からの寄贈品なので黙認せざるを得ず、内戦当事者たちはそこに付け込むわけだ。国際人道援助団体は途上国の被災児童を里子に紹介する活動も行っているが、それも活動資金を得るための手段なのだ。

 

X月某日
鄭義著『食人宴席』(光文社)は、多くの本を読んできた私にとって、読後が最も気持ち悪かった本だ。中国で1966~76年まで続いた「文化大革命」の際に、主に中国最南部の江西省荘族自治区各地で起きた、反革命分子のリンチ後に住民が被害者の肉体を食べた多くの事件を、これでもか、これでもかと取り上げている。人肉食自体は世界的によく起こる現象で、キリスト教徒の十字軍がイスラム教徒を殺してその肉を食ったり、1917年のロシア革命後に大飢饉に見舞われたウクライナ、1972年にアンデスで墜落した飛行機の乗客、それに第2次世界大戦末期の日本軍もニューギニアやフィリピンで手を出している。いずれも、生きるか死ぬかの極限状況のなかでの切羽詰まった苦渋の選択だったが、中国の場合は、率直に言って、うまい肉が販売されているのを、一般庶民が気軽に買い付けているような気安さが感じられる。
特に印象深いのは、ある中学校で生徒たちが校長を集団リンチで殺して、鍋で煮込んで皆で食べるエピソードだ。その他、町で買い物かごを下げた老女が、あたかも夕食の材料を買うように人肉を取って行くシーンだ。世界的な標準から言うと、人肉では肝臓が一番美味とされているが、中国人にはどの肉でもいいようだ。
今回は、残酷な話ばかりで誠に申し訳なかったが、現実の世界の動きをぜひ知ってもらいたいという思いで書いた。平和で安逸に流される日本は、非常に例外的な国なのだと認識して欲しい。

三好良一

2017/02/16 | カテゴリー:コタキナバル読書日記

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