2016年2月-マレーシア最新芸術事情

今、この人に注目!~美術編~バレンタイン・ウィリー氏

 90年代後半から2012年まで、アート・ディーラーとしてその名を馳せたValentine Willie(バレンタイン・ウィリー)氏。バンサーのJalan Telawi3にあった同氏のギャラリーValentine Willie Fine Artは、常に新しく良質のマレーシアや東南アジアの作品を紹介してきました。また、インドネシアやシンガポールにもギャラリーをもち、国立美術館でのマレーシア現代美術展やシンガポール、エスプラネードのオープニングなどにキュレーターやアーティスティック・ディレクターとして関わるなど、この地域のアートシーンを牽引する一人でもありました。

 そんな彼が美術から手を引くと発表し、バンサーのギャラリーを閉じたのが2012年。何か一つの時代が終わったなぁと寂しく感じる一方で、やはり彼はもう他のビジネスに専念してしまうのかしらと思いきや、昨年8月にオープンしたILHAMギャラリーのアーティスティック・ディレクターとしてカムバックしてきました。ILHAMは作品を売らず、入場料も徴収しない一般の人々のためのギャラリーで、展示作品に対する理解を促進するための、こどもから大人までを対象にした様々なプログラムも開催されています。

 8月14日付のNIKKEI ASIA REVIEWは、同氏を“Malaysian Art Legend”と称し、マレーシア美術の伝説的な人物としてそのインタビュー記事を掲載しており、そのなかでも同氏は、アートビジネスでなく、マレーシアの人々がアートによって感銘を受け、広い社会の中でその場所や起源を発見できるような場所として、ミュージアムの必要性があると感じた、と語っています。

 そしてバレンタイン氏の野望は、まだまだ留まるところを知りません。ILHAMのオープニングに先駆けた7月末、ペナン州知事はジョージタウンの中心地に1億リンギットを投じてペナン・アート・ミュージアム&ギャラリーを建設すると発表。そのコンサルタントとして出席していたバレンタイン氏からは、古いショップロットも美術や遺産に関連した施設として残しながら、その象徴として建てられる新しい建物には、ギャラリーのほかに芸術全般を網羅する図書館が設けられるほか、アートマーケットなども開催できるユニークな屋外のオープンスペースも併設するとの発言がありました。彼の指揮のもと、また新たな、そしてさらに大きなプロジェクトが動き出しました。

アティカ

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