マレーシア最新芸術事情 2018年5月-巷で話題の劇場初公開作品とは?

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巷で話題の劇場初公開作品とは?

昨年マレーシアで公開された国産映画59本のうち、興行成績が100万リンギの大台を超えたのはわずか9本。そんななか、公開初日で150万リンギを達成する作品が登場しました。タイトルは、「DUKUN(ドゥクン)」。マレー語で呪術師を意味します。そう聞くと、ちょっとできの良いホラー程度に思われてしまうかもしれませんが、その人気には深い理由があるのです。
この映画は実在した呪術師Mona Fandey(モナ・フェンディ)による1993年の政治家殺害事件を基にしています。当時UMNO(統一マレー国民組織)所属のマズラン・イドリスは、政治家としてのキャリアアップのため、上流階級を中心にクライアントをもつモナの呪術に助けを求めます。報酬として250万リンギを要求したモナに、マズランは手付金の50万リンギと、残り200万リンギの担保として10ヵ所の土地の権利書を渡しますが、施術中に殺され、遺体は18個にバラバラにされ、モナの自宅近くの倉庫に埋められます。
私が初めてモナ・フェンディの存在を知ったのは、彼女が亡くなった後のこと。ある日の新聞の一面に、赤地に黒の水玉の服を着た女性が不気味ににっこり笑っている写真と、彼女が絞首刑になる直前に放ったとされる言葉「私は死なない」という文字が大きく掲載されていて、それが脳裏に焼き付いていました。
その後、モナの話が「ドゥクン」というタイトルで映画化されると聞いたのは13年ほど前のこと。多くの人々がその公開を待ち望むなか、完成した作品が検閲をパスしたにもかかわらず、突如公開されないということが発表されました。さまざまな憶測が飛び交うなか、監督のデイン・サイドもその理由について一切語ろうとせず、ただ、「俳優陣、特に主演のウミ・アイダが渾身の演技を見せてくれたのに、それを披露することができず悲しい」と述べるに留まりました。確かに、この役はウミ・アイダにしかできなかっただろうと思わせるような美しさ、妖艶さ、そして怖さを放つ素晴らしい女優さん。いまだに活躍中ですが、これほどまでに彼女ならではの魅力を発揮できる作品にはもう出会えないのではないかと思わせるほどのはまり役です。
ということで、当初の公開予定からなんと12年の月日を経て突如謎の公開に至った「ドゥクン」。最終的にどこまで数字を伸ばすのか、非常に気になるところです。

アティカ

2018/04/26 | カテゴリー:マレーシア最新芸術事情

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