マレーシア最新芸術事情 2018年9月-映画に感情移入できない時。

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映画に感情移入できない時。

こどもの頃から、映画やお芝居に感情移入しやすい私ですが、マレーシア映画の場合、感情移入できない時の理由が、かなり細かい部分であることが多いです。ストーリーが面白くても気持ちが離れてしまうその理由が、主に3つの種類に分けられるということに先日気付きました。
1.話の展開が強引
SFやファンタジーであればまだ良いのですが、現実的な話だとそのわざとらしさが気になります。マレードラマで"登場人物がタイミングよく事故に遭う"というのが一番分かりやすい例かもしれません。
2.スポンサーのアピールが強すぎる
近年の大ヒットサッカー映画、『Ola Bola』。テレビのレポーターがかつてナショナルリーグの代表選手だった人の自宅を訪ねるシーンで出された飲み物は、大きな緑のマグカップに入ったミロ。どでかいミロのロゴはばっちりカメラの方を向いています。普通出さないですよね、初対面の客人にミロは…。その瞬間に私は心のなかで「嗚呼!」と叫んでいました。
また、昨年公開された『Shuttle Life』。低所得者層用のアパートに住む貧しい一家の物語で、海外の国際映画祭でも数多くの賞を受賞した作品ですが、スポンサーは玄米の会社。物語が始まる前にドーンとその大きなロゴが現れます。「仕方ないのよ、だって映画作りにはお金が必要なんだから」と自分に言い聞かせて観るものの、途中で社会福祉士の女性が、その一家を心配して玄米5キロを腕に抱えて届けるシーンがあります。玄米、高いんです。彼らは玄米1パックもらえるなら、その金額相当の白米3パックもらった方がよっぽどうれしいはずなのです。
3.衣装
衣装の素材やデザインが時代背景に合っていないと、そこで気持ちが覚めてしまいます。今年のヒット作の一つ『Pulang』。主人公の妻の衣装が許せない。戦前なのにプリントのバティックサロンや化繊のバジュを着ているのを見て、キーっとなってしまうのです。60年代にイギリスにいる設定の主人公に至ってはフリースを着ていて、「いやいや、まだ開発されてないから!」と思ってしまいました。
ところで1で触れた強引な展開、それを突き詰めてくれると逆に面白さに変わることがあります。公開初日から大ヒットのB級ホラーコメディ『Hantu Kak Limah』はまさにそんな映画。やはり“こだわり”というものが大事なのかもしれません。

アティカ

2018/08/28 | カテゴリー:マレーシア最新芸術事情

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