マレーシア最新芸術事情 2019年8月-マレー映画の行方

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マレー映画の行方

2009年7月25日、ヤスミン・アフマド監督は6本の映画とたくさんの素晴らしいテレビコマーシャルを残して、世界中の多くの人々に惜しまれながらこの世を去りました。あれから10年、これまでもヤスミン監督の作品は繰り返し日本で上映されてきましたが、今回は没後10周年ということで、渋谷のシアター・イメージフォーラムにて7月20日〜8月23日までと、1ヵ月強に渡り特集上映が行われることになりました。2003年にテレムービーとして発表された第1作の『ラブン』から、代表作として有名な2004年の『細い目』、2009年の『タレンタイム』まで、全6作品が上映されます。
マレーシアでは、映画の公開後にDVDが販売されることがあっても、増版されることはほとんどないため、「ヤスミン監督の名前や作品のタイトルは何度も耳にしたことがあるのに、映画を観ることができない!」と思っていらっしゃった方も多いのではないかと思います。ちょうど夏休みの季節ですので、日本へ一時帰国される方はぜひ! 残念ながらマレーシアでこの規模の特集上映が行われることは、おそらくこれから先もないかと思います。
さて、その一方で、相変わらず彼女の話ばかりで、いい加減新しい人材は出てこないのか⁉ と、思ってしまうかもしれませんね。もちろん、デイン・サイド(Dain Said)監督やリュウ・センタット(Liew Seng Tat)監督など、以前このコラムで紹介したような期待の監督も何名か登場し、優れた作品も登場してはいるのですが、なんといっても今年はマレー映画(マレー語の作品)界が氷河期かと思わせるほど元気がなく、なんとハリラヤのシーズンにマレー映画が劇場に1作品もないという異例の事態を迎えてしまいました。日本の大手シネコンでお正月に邦画の上映がない、というほどの衝撃ではないにしても、これまでマレーシアの映画界においてメインストリームとして数々の恩恵を被ってきたマレー映画界に、何かしらの変化が生じているのであろうことは、容易に想像できます。
そんな状況に危機感を覚えたのか、マレーシア映画振興公社(FINAS)は各地の商業映画館を訪ね、今マレー映画に何が求められているのか、調査をはじめたそうです。知り合いのある映画館のマネージャーは、言いました。「どうしたらマレー映画がもっと売れるか?って聞かれたから、『いい映画を作ることだ』と言ってやったよ」と。それを聞いて、今その基本のキ辺りなのかと、軽い目眩を覚えたのでした。

アティカ

2019/08/01 | カテゴリー:マレーシア最新芸術事情

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