2011年11月-第13回

 

能力への自信より、存在への自信 

  
よく、「子どもに自信をつけさせるには?」とか、「うちの子は自信がなくて……」といいます。
 

 確かに自信をもつことは大事です。しかし、この自信といっても、2段階ある、ということが意外と知られていません。

 第1段階は、存在への自信です。つまり、自分はここにいていいんだ、ありのままで、存在価値があるんだ、自分は、いらない人間なんかじゃないんだ、という気持ち(自己肯定感)です。これは、何によってつくられるかというと、親や周囲の人が、自分の存在を喜んでくれることから、育まれる気持ちです。

 第2段階は、能力への自信です。これは、勉強ができる、スポーツができる、お手伝いができる、などという、自分の能力への自信です。これは、周囲の人から、認められたり、ほめられたりすることによって、育まれます。

 ふつう、自信というと、能力への自信のほうを問題にしがちです。しかし、人間が生きていくときに、本当に大切な自信は、存在への自信です。能力への自信は、努力によってつけることができる反面、いろいろな状況で失うこともあります。勉強で失敗したり、スポーツで負けたりです。

 ところがそこで、「なにくそ」と思って、また立ち直ってがんばることができるか、「どうせ自分なんて」とあきらめてしまうかは、存在への自信、自己肯定感によるのです。

 自己肯定感の高い子は、一つのことで失敗しても、それだけで自分の存在価値がすべてなくなったとは思いません。別の機会には何とかなるかもしれないと思いますし、ここでダメでも、別の分野では何とかなるかもしれないと思っています。しかし、自己肯定感が低いと、一つダメだと、やっぱり自分は何をやってもダメなんだ、自分はやっぱり存在価値がないんだと思ってしまいます。

 これは、しつけやルールを教えるときでも同じです。悪いことを悪いと注意したときに、自己肯定感の高い子は、「自分のために叱ってくれたんだ」と思うことができます。しかし、自己肯定感の低い子は、「やっぱり自分は、人を怒らせるだけの、ダメな人間なんだ」と思って、すてばちになり、注意がちゃんと入りません。

 ですから、その子の勉強やスポーツなどの能力を育てるときにも、しつけやルールを教えるときにも、土台となるのが、自己肯定感、存在への自信なのです。 

明橋大二(あけはしだいじ)

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