2017年12月-101回 エボシコクジャク

マレーシアご当地動物でありながら、希少種であるためなかなかお目にかかれないエボシコクジャク(Malayan peacock-pheasant)をじっくり観察する機会があった。
エボシコクジャクはクジャクと同じキジ科に属するが、全長はオスが50〜53センチメートル、メスが40〜45センチメートルで、最大で3メートルにもなるクジャクよりだいぶ小さい。「エボシコ・クジャク」じゃなく「エボシ・コクジャク」だ。和名の由来は、オスの頭頂にある羽が冠状に伸びていることにある。果実や昆虫など何でも食べる。
全体の羽色は褐色だが、いかにもクジャクの仲間らしい青緑色の丸い斑紋が翼や背、尾羽の先端に入っている。クジャクの目玉模様は角度が変わると緑色に見えたり真っ青に見えたりするが、これは白色光どうしが干渉し合うために起きる干渉色と呼ばれるもので、CDやシャボン玉が虹色に見えるのと同じ原理だ。
エボシコクジャクは国際自然保護連合(IUCN)が作成した絶滅のおそれのある野生生物のリスト、「レッドリスト」で、絶滅の危険性が高い「危急種」に指定されている。成鳥の生息数は2008年時点で8000羽程度と推定されている。個体数が少ないうえ、茂みの多い低山ジャングルを歩きまわるため見つけるのが難しい。
今回エボシコクジャクを見つけた場所はタマンネガラ国立公園の玄関口から歩いて10分ほどの観察小屋。東京から来られたSさん夫妻を案内していたところ、小屋の下にやって来て撒き餌を食べ始めた。メスだったのでオスに比べて派手さはないが、それでもクジャクらしい丸い青緑色の斑紋があって十分美しかった。
野生動物国立公園局の観察下に置かれている個体だったらしく脚輪がつけられており、我々が数メートルの距離に近づいても逃げない。彼女は度々ここを訪れてはエサをいただいていたようだ。

伊藤祐介

2017/11/29 | カテゴリー:自然のはなし

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