2017年4月-ジュゴン(前編)

ジュゴン(Dugong)は、カイギュウ目の水棲哺乳類。最近では沖縄・辺野古の米軍基地移設反対派が「海岸埋め立てがジュゴンの生態系に悪影響を及ぼす」と主張して話題に上った。
ジュゴンは東南アジア、インド、アフリカ東部、豪州北部の沿岸に生息する。北米南部や南米北部沿岸に生息するマナティーは同じカイギュウ目だが、別の科に属する。外見はよく似ているのだが、マナティーの尾鰭がしゃもじ型であるのに対し、ジュゴンの尾鰭はクジラのような弧型であることで見分けることができる。
ジュゴンの体長は約3メートル、体重は400キログラム以上になる。アマモなどの海草を主食としているが、成獣は1日40キログラムも食べる。環境変化の影響を受けやすい「大食でしかも偏食」という典型的な絶滅危惧種の要素に加え、繁殖力が弱く、遊泳スピードが非常にゆったりしており、これまでよくぞ厳しい自然を生き残ってきたなと思う。実際ジュゴンは食用のために各地で大量に捕獲されてきた。沖縄のジュゴンが絶滅に瀕しているのも乱獲が原因なのだ。
ジュゴンの語源は、マレー語の「Duyung」(ドゥヨン)であり、いわばマレーシアのご当地動物だ。元々の意味は人魚。人魚伝説のモデルになったという話はよく知られている。
ご当地動物であるぐらいだから、昔はマレーシアの海岸地域に広く分布していたらしいが、1960年代から急速に減少。現在ではジョホール州とサバ州、サラワク州だけに合計100頭ほどまでに減っているといわれる。絶滅が懸念され保護動物に指定されてからも、毎年平均5頭が死体で発見されている。現在、野生の姿を見ることはほとんど不可能な状況だ。
このようにマレーシアではなかなかお目にかかることができなくなったジュゴンだが、かなりの確率で見ることができる場所がタイ南部のアンダマン海に面したリボン島にある。次回はそのリボン島でのジュゴン観察記録を紹介したい。

伊藤祐介

2017/04/25 | カテゴリー:自然のはなし

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