2017年7月-ウミシダ

陸上と環境がまったく違う海には、陸上では考えられない形態をもった生物が多く棲息する。浮力によって無重力に近い環境がつくられているため、移動に要するエネルギーが少なく済むというのが大きい。
長い葉を伸ばしたシダ植物のようにしかみえないウミシダ(Feather-stars)もれっきとした動物である。ウニやヒトデと同じ棘皮動物だが、最も原始的だといわれる。ウミシダが属するウミユリ鋼が発生したのは古生代前期オルドビス紀、実に4億年以上前だ。
シダの葉のように見える部分は腕で、ウニでいうところのトゲトゲにあたる。シダの根っ子にみえる部分が本体だ。ウニと同様に本体には口や肛門がついている。どちらが上でどちらが下か分かりづらいが、口がある方が上になる。本体から伸びた無数の細い腕からさらに多数の枝が両側に伸びており、これを羽枝という。英名は腕と枝が鳥の羽のようにみえることからきているのだ。敵に突つかれたりして大きな刺激を受けるとこの腕を切り離してしまうが、これを「自切」という。トカゲの尻尾切りと同じで、やがて切れた腕は再生する。
動物である証拠に、腕は巻き込むように動いて漂ってきたプランクトンの死骸などの微小なエサを捕える。腕には口につながる溝があり、エサはこれを伝って繊毛によって口まで運ばれる。ちゃんとオスとメスがいて、卵は羽状の枝にできる。卵は海中に放出され、同じく放出された精子とくっついて受精する。
ウミシダはこども時代の方がより植物的だ。水中を漂っていた卵が孵ると幼生はやがて、サンゴや岩などに着生する。植物のように茎をもって固着し、流れてくるエサを食べて育つ。ある程度育ったところで茎を切り離し、ようやく自由に動き回れるようになる。
ダイビングをしていると岩場でよく見かけるが、成体は岩には乗っかっているだけであり、指し棒で簡単に拾い上げることができる。水中に放すとあらビックリ! 無数の腕をくるくる動かしてジタバタ泳ぐのだ。

伊藤祐介

2017/07/10 | カテゴリー:自然のはなし

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