2017年8月-オニカマス

マレーシアが世界に誇るダイビングスポット、シパダン島。そのなかでも最も有名なのが「バラクーダ・ポイント」という場所だ。その名の通りカマス(バラクーダ)の大群が出るので知られる。時に何百匹ものカマスの群れがグルグルと竜巻のように巻きながら移動することがあり、これをダイバーは「バラクーダ・トルネード」と呼んでいる。40センチほどの無数のカマスが竜巻をつくる姿はじつに壮観。うまくこの「カマス竜巻」の中心に入り込むことができれば、360度すべてがカマスで埋め尽くされるというエキサイティングな体験ができるので、「バラクーダに巻かれてみたい!」とわざわざこれ目当てに同地を訪れるダイバーも多い。このカマスの仲間の王様は、最大で1・8メートル、体重40キログラム以上にもなるオニカマス(Great Barracuda)だ。こちらはあまり大きな群れをつくらず、比較的上層近くに漂っていることが多い。一見のんびりしているように見えるが、実は勇猛なハンターだ。獲物を見つけると最大時速40キロメートルの猛スピードで突進してくる。鋭い歯をもっているので、高速でぶつかられたら大ケガしかねない。水面にジャンプしてシーカヤックに乗っている人に大ケガを負わせた事例もある。アメリカではサメよりも危険な存在とみなされているという。オニカマスは小魚などをエサとしているため、光るものをみると反射的にエサとみなして襲いかかるともいわれる。水面近くにいるダイバーの機材が光で反射するのを見てエサだと勘違いして襲いかかってくるのかもしれない。少なくとも人間だときちんと認識して
襲いかかっているとの証拠はないようだ。僕もダイビングで何度もオニカマスに数メートルまで接近したことがあるが、向こうもこちらがデカイ(海の生物にとってフィンをつけた人間は大い部類)と思ってか、自然と離れていくのが普通のパターンだ。触ったり脅かしたりしなければ特に心配はないと考えてよさそうだ。

伊藤祐介

2017/08/04 | カテゴリー:自然のはなし

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