2018年1月-102回 ショウガ


マレーシアのジャングルを歩いていると、よく見かけるのがショウガ科の植物だ。なかでも見た目がユニークで美しいのが「ジンジャーウォート」(Gingerwort)とか、「蜂の巣ショウガ」(Beehive ginger)などと呼ばれるショウガ属(Zingiber)の植物だ。ショウガ属はマレーシアに十数種あるらしい。
ジンジャーウォートの学名は「Zingiber spectabile」。「Zingiber」はサンスクリット語の「角のような形」が語源だといわれるが、確かにショウガ属特有の細長い楕円形の葉は「角のような形」に見えなくもない。花が咲いていなくてもこの特徴ある葉のおかげで、ジャングルのなかでも見つけることができる。茎のように見える部分は葉が巻いたもので、茎は地下にある(根茎)。主に球根植物と同じように根茎によって増える(栄養繁殖)。
英名の語源にもなった蜂の巣状に互い違いに開いた花はまるでトウモロコシのようで、最初は黄色だがだんだん赤く、最後は赤銅色になる。高さ20~30センチメートルにもなり、緑が生い茂るジャングルの中ではひときわ目立つ。
「spectabile」は英語でいうところの「spectacular」(壮観)を意味する。無性生殖である栄養繁殖が主なので花はたいして重要ではないようだが、それにしては「壮観」と名付けられるくらいに立派で人目を引く花は、どういう経緯で咲くようになったのだろう。実に不思議だ。
ところで僕が美しいと表現した蜂の巣状の花だが、人によっては気味が悪いという。カエルの卵のように粒が密集していたり、蜂の巣のように小さな穴が密集しているのを見るとゾっとするのをトライポフォビア(集合体恐怖症)というのだそうだ。諸説あるようだが、寄生虫病や伝染病に感染すると皮膚にブツブツができることがあるが、そうした経験からくる不安症という説もあるようだ。

伊藤祐介

2017/12/20 | カテゴリー:自然のはなし

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