2018年4月-105回 モリオオアリ


マレーシアのジャングルには異常に巨大なアリが生息しており、初めて見る人は皆驚く。このなかでも世界最大級のアリがモリオオアリ(Giant Forest Ant)だ。大きさは何ミリなんて単位ではない。センチの単位である。
ハタラキアリでさえ2〜3センチ。雄アリや女王アリはその1.5倍ほどのビッグサイズだ。同じオオアリ属で日本最大のクロオオアリが1.2センチほどなので、いかに大きいかが分かるだろう。頭や胸の部分は黒いが、腹の部分は茶色っぽい。くびれがあるので遠目でみると羽のないスズメバチのようだ。実物を見る機会はまだないが、雄アリの写真を見ると羽があるので巨大なハチのように見える。
あまり知られていないが、実はアリもハチも同じハチ目であり遠縁にあたる。昔「赤とんぼ、羽を取ったらアブラムシ」というハチャメチャなコミックソングがあったが、「ハチの羽を取ったらアリ」というのはそんなに馬鹿げた話ではないのだ。
モリオオアリの巣は倒木などを利用しており、本拠地以外にも複数の小規模な巣を周辺につくる。群れのテリトリーは0.8ヘクタールに及び、群れの総勢は7千匹にも及ぶ。主に夜間行動するが、昼なお暗いジャングルでは日中でも見られる。ふだん目にするハタラキアリは大型と小型の2種類おり、大きいものは体重が370ミリグラムもあるが、小さいものは135ミリグラムと3分の1程度しかない。 モリオオアリの巨大で恐ろしげなアゴはもっぱら巣を作る際に威力を発揮する。シロアリのようなセルロース分解酵素をもたないので、もっぱらアゴの噛むパワーで木を掘り進んで巣を作っていく。英語でオオアリ属が「カーペンター・アント」と呼ばれる所以だ。
ジャングルでは無敵に見えるオオアリだが、これに寄生して奴隷化する恐ろしい寄生菌がある。なんとアリがゾンビ化して操られてしまうという。この寄生菌の話は後日。

伊藤祐介

2018/03/22 | カテゴリー:自然のはなし

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