2018年7月-108回 タテジマキンチャクダイ


シマウマのシマ模様はタテなのかヨコなのか、皆さんはご存知だろうか? 歩いている姿をみるとタテジマのように思えるが正解はヨコジマだ。これは学問的には動物を、頭を上にして置いてみた場合を基準としているからで、このルールはすべての動物に当てはまる。従ってトラもヨコジマということになる。疑うことを知らない小さいこどもに聞いてみよう。シマウマはタテジマだと答えるかもしれない。
タテジマの動物では、マレーシアの海に棲むキンチャクダイ科の魚の一つにタテジマキンチャクダイ(Emperor angelfish)がいる。英名には観賞魚として人気のエンゼルフィッシュと付いているが、同じスズキ目というだけで縁は遠い。全長は40センチメートルほど。体色は黄色と青のタテジマ模様で、光が吸収される海中でも非常に目立つ。
タテジマキンチャクダイがダイバーたちの人気を集める理由の一つに、幼魚の時と成魚の時の体色がまるで違っていることがある。幼魚は紺色地に同心円状の白い模様が入る。まるで畑に取り付けてあるカラスよけのようだ。これは縄張り争いに巻き込まれないためとも、目玉模様にみせて威嚇効果を狙ったものともいわれている。ダイビング中に幼魚を発見できれば大ラッキーだ。
タテジマの動物がいるかと思えば「タテスジ」の動物もいる。魚類で「スジ」と呼ばれているものにはトラザメ科のタテスジトラザメがいるが、これは俗称に「トラ」がついているものの、トラとは異なりスジは「ヨコ」ではなく「タテ」である。
しかしシマとスジはどこが違うのか。どうも線が1〜2本の場合は「スジ」、複数の場合は「シマ」と呼ぶことが多いように思えるが、タテハチョウの仲間の「ミスジチョウ」のように3本でも「スジ」と呼ぶことがあるので確証はない。生物の俗称は適当につけられたと思われるものも少なくなく、なかなかややこしい。

伊藤祐介

2018/06/25 | カテゴリー:自然のはなし

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