2018年9月-109回 ゴシキソウシチョウ


世界的に外来生物が問題になっている。在来種の生存を脅かしたり生態系を狂わせる恐れがあるためだが、野鳥の場合は自由に飛んで移動できるという点で他の生物と違っている。そのため「外来鳥」と「渡り鳥」を区別するため、「ペットが脱走し定着したもの」が「外来鳥」の定義となっている。
ソウシチョウというスズメ大の野鳥も外来種の一つ。日本では外来生物法で特定外来生物に指定されており、「日本の侵略的外来種ワースト100」選定種の1種となっている。こういうと何やら在来生物を虐殺する貪欲かつ凶悪な生き物を想像するが、見た目はそれとは全く違う優美なもの。インドなどからペットとして持ち込まれ人気を博しただけあって、羽色の美しさは他の日本の在来種にはない南方系の色鮮やかさだ。
このソウシチョウの仲間で最も美しいのがゴシキソウシチョウ(Siver-eared Mesia)で、フレーザーズ・ヒルなどのマレーシアの高地でみることができる。英名はホオ(英語だとなぜか耳)の部分が銀色をしていることからきたもので、頭は黒、のどと嘴は黄色、胸はウグイス色、翼の中央に赤いドットが入るまさに極彩色。和名どおり「五色」そのものだ。
ソウシチョウは漢字で「相思鳥」と書くが、これは離れた場所にいるカップルのオスとメスが互いを呼ぶように鳴き交わすことからきているといわれる。オスとメスは羽色が似ているが、オスは尾羽の付け根部分にも赤色が入るので区別される。極彩色なのは、密林の中でも仲間を見つけやすくするためだ。
群れでいることが多く、同じく群れでいるチャガシラガビチョウと競合しているが、餌場では一回り大きいチャガシラガビチョウを追っ払ったりするなど、優雅な姿に似合わず気が強い。自然界では同じような環境で生活する種でも気が強かったり弱かったり、人への警戒心が強かったり弱かったりといった個性があるので面白い。

伊藤祐介

2018/08/28 | カテゴリー:自然のはなし

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