2019年10月-123回 ランブータン


身近にあるご当地生物(植物)を一つ忘れていた。赤いモジャモジャの毛に覆われたこれぞトロピカルな風情の果物、ランブータン (Rambutan)だ。
英名はマレー語で毛を意味する「Rambut」からきたと言われる。実際のところは東南アジアのどこが原産地か特定できないみたいだが、あの大英帝国の植民地だったためかラッキーにもマレー語源の名称が世界を制したわけだ。
タイでは「ンゴ」、ベトナム語で「チョムチョム」といずれも赤い毛をイメージした呼び名がつけられている。ビルマ語では鶏のとさかという意味「チェンマウティ」と呼んでおり、隣国とは趣を異にしている。国によって注目するポイントが異なるのは面白い。
ランブータンとライチ(茘枝)、ロンガン(竜眼)を混同している人がたまにいるが、それもそのはず、これらはみなムクロジ科の植物、親戚同士なのだ。ランブータンは実こそ大きいがライチやロンガンと比べるとやや甘みが少なくぱさついている。大きな種がなかなか実離れせず渋皮を一緒に食べてしまったりするのでランブータンは嫌いだという人も少なくない。毛虫のような見た目で敬遠されている面もあるかもしれないが、低カロリーでビタミンCやカルシウムが多く含まれている。
種から植えると実を付けるまで5〜6年。開花時から収穫時まで90日以上かかる。枝になった状態で完熟させる必要があり、収穫してからは長持ちしない。生産量ではタイが世界トップらしいが、マレーシアもインドネシアに次ぐ世界3位につけている。
モジャ毛は何のためにあるのかという問題だが、恐らく蒸散作用を高めるためだと考えられる。蒸散とは植物が体内の水分を葉などから蒸気として廃出することで、根からの水の吸い上げを促進したり、温度調節のために行われる。モジャ毛はラジエターのフィンのように表面積を増やす効果があるだろう。果実の温度上昇を抑える役割があると思われる。

伊藤祐介

2019/10/01 | カテゴリー:自然のはなし

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