2019年2月-115回 ナマコ  


マレーシアを代表するお土産となったナマコ石鹸。豊富に含まれているコラーゲンで肌がしっとりツルツルになると評判だ。製法はいろいろあるようだが、ランカウイではナマコ(Sea cucumber、マレー語でガマット)をココナッツ油で煮込んで作ったナマコ油を使うのだという。ランカウイでは主にゴールデン・ガマット(学名・Stichopus horrens)と呼ばれる種類を使っている。沖縄ではナマコをいったん乾燥させてから茹でてエキスをとるらしい。
ナマコはウニやヒトデと同じ棘皮動物。ウニやヒトデをタテ方向にう〜んと引き伸ばし、柔らかくしたものを想像して欲しい。身体は棘皮動物特有の放射相称といわれるもので、どちらが表でどちらが裏というものはないのだが、一応背側と腹側は区別できるようになっている。大きな種では体長2メートルにもなる。
ナマコには心臓がない。心臓がない理由は血管・血液というものがないからだ。血管・血液がなければポンプも要らない理屈だ。血管・血液がないとすれば、どうやって酸素を全身の器官に送るのだろうか? 実はナマコは皮膚から取り入れた酸素だけで賄っている。あまり知られていないがナマコは優れた省エネ動物なのだ。
ナマコ石鹸の原料になるゴールデン・ガマットなどの熱帯系のナマコは、敵に襲われると直腸などが変化したキュビエ器官を肛門から出すことで知られる。キュビエ器官はネバネバしているので敵がこれにまとわりつかれているうちに逃げる。ネバネバといっても納豆のような可愛いものではない。手などに付いたら岩などに擦り付けてもなかなかとれないくらいだ。
キュビエ器官は引っ込めることはできないので、体外に出したら切り離されるが、1〜2ヵ月経つと再生するらしい。トカゲのシッポ切りのような役割を果たしているのだ。

伊藤祐介

2019/02/07 | カテゴリー:自然のはなし

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