2019年4月-117回 ミノカサゴ


リオのカーニバル・ダンサー(小林幸子?)のような派手な色彩と姿で知られるミノカサゴ(Lionfish)。昼間は岩場で休んだりゆっくり泳いだりしているが、夜、活発に活動する。
ミノカサゴの和名は「蓑笠子」。長いヒレをもった身体が蓑笠を被ったような姿に似ていることから名付けられた。一方、地方によって「ナヌカバシリ(七日走り)」といった恐ろしげな名で呼ばれることも。これはヒレにある毒に刺された際の痛みをリアルに表現したものだ。
ヒレの先端にある毒針はふだん皮膚で覆われているが、触れると皮膚が破れて刺されるという仕組み。タンパク質系の毒なので刺されたら、タンパク質が変質し、かつこっちが火傷しない程度の温度の湯に患部を漬けると症状が改善するといわれる。痛みで7日間も走り回ると近所迷惑なのでぜひ覚えておこう。
派手なミノカサゴのヒレは「毒をもっているぞ、近づくな」といった警告を知らせる機能をもつ。抑止型兵器をもっているようなものだが、ミノカサゴの場合は獰猛な肉食性ゆえ「抑止型」が容易に「攻撃型」に化け、近づき過ぎると毒ヒレを振りかざして襲ってくることがあるので注意が必要だ。
ミノカサゴのヒレのどの箇所に毒があるかというのはどうも諸説あるようだ。敢えてこちらが手を出さない限り襲われる可能性は少ないのだが、ナイトダイブや洞窟ダイブなどではウッカリ触れてしまうリスクが高くなる。僕は「狭い沈没船の内部でバッタリ」とか「洞窟の暗がりからぬっと」といったシチュエーションで、確か3〜4回は触れたことがある。幸いいずれも刺されなかったので、たぶんどのヒレにも毒があるわけではないのだろう。
このコラムでも度々紹介しているダイバーがバディに知らせるサインだが、ミノカサゴのサインは両手の五指をまっすぐ立てたまま90度の角度で組むというもの。立てた5本の指が背びれや胸びれを表している。

伊藤祐介

2019/04/02 | カテゴリー:自然のはなし

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