2011年11月−コタキナバルと鉄道

現在のコタキナバル市内 サバ州はカダザン族など20以上の少数民族が住み、1963年にマレーシア連邦に参加して現在に至っている。その州都コタキナバル(旧名ジェッセルトン)の建設は、ボルネオ島に唯一ある鉄道なしには語れない。今回は、コタキナバルと鉄道がどのように発展していったのかを概観する。

 

 

 

ガヤからジェッセルトンへ 

 現在のコタキナバルの対岸にあるガヤ島。英国側は1877年にブルネイのスルタンから同島を取得し、82年に英国の特許会社北ボルネオ会社が同島に拠点を置く。

 同社はここに税金を徴収する財政部や警察署などを設置。同社がガヤ島を拠点にすると、福建や潮州出身の中国人も住み始めた。25軒ほどの店舗が並び、彼らは燕の巣やタバコなどを香港やシンガポールに輸出していた。86年の島の人口は479人で、バジャウ族と中国人が多数を占めていた記録が残っている。

 しかし、同社が期待していたのとは裏腹に、島の土地は不毛であったことが分かり、島の南部で行われたサゴ栽培が失敗。また、島内には主な川がないことから、水の供給困難に直面し、生活に支障が出た。その上、97年には同社に抵抗する暴動が発生し、島はほぼ壊滅的な打撃を受けた。

 1898年には現在のコタキナバルの南西にあるビューフォートの町が建設された。当初は主にこの辺りでタバコの栽培が行われ、それを運搬することを目的として、この町から、まず港として機能したウェストンとの間で32キロほどの線路が敷かれた。

 一方で同社は、ウェストン-ビューフォート路線を延長した最終駅の候補地を探し始めた。ガヤ島は島であるが故に候補から落ち、代わりに現在のコタキナバルの北部にあるガンティアン地区が平地で海に面していることからここを最終駅とすることとした。

 しかし、線路敷設の工事を始めるにはマングローブの沼地が多く難航。また、港としては風が強すぎるために船の寄港も難しいとしてここも断念した。

 このため、99年に土地長官のヘンリー・ウォーカーは鉄道が敷設できる新町の建設地を新たに模索。その結果、バジャウ族の小さな漁村があった現在のコタキナバルのアピ・アピ地区周辺が選ばれた。そして、当時の北ボルネオ会社のチャールズ・ジェッセル副社長にちなみ、町の名前はジェッセルトンと命名された。

鉄道の開通とゴム産業の発達

 当初、当時の北ボルネオ会社の社長だったウィリアム・コウィーは、ブルネイに近い現在のシピタンからタワウ付近に鉄道を敷設することを検討。ボルネオは肥沃な土地で、金やコーヒーも採れると期待したが、またもや沼地が多く、莫大な資金が工事に必要であることがわかり、計画は頓挫した。

 その後、ウェストン-テノム間(約46キロ)の建設に入り、さらにビューフォートからジェッセルトンの線路工事が行われ、それぞれ1905年と1902年に完工した。

 北ボルネオではもともと砂糖やタピオカ、アヘン、サゴなどが栽培されたがことごとく失敗。しかし、タバコの栽培は成功し、また木材も北ボルネオでの20世紀以前の主要産業となっていた。

 一方で、20世紀に入るとゴム産業が北ボルネオでも栄える。1882年にすでにゴムは栽培され始めたようだが、実際に商業化するまでにはかなりの時間を要していた。

 北ボルネオ会社はゴム産業の発展を促すため、ゴム製品の輸出税の50年間の控除などを打ち出した。その結果、多くの投資家がゴム産業に投資していく。ゴム農園は主にテノムやビューフォート、ロック・カウィなど線路敷設周辺に次々とできあがった。これらすべての農園はゴム製品を鉄道でジェッセルトンに運び、そこから輸出していった。

 ジェッセルトンは1900年に同社の主要庁舎が建設され、1905年までには欧米人の住宅地をつなぐ現在のイスタナ通りとトゥンク・アブドゥル・ラーマン通りの主要道路ができた。また、ゴム産業の発展とともに人口も増加。小さな漁村だった同地の1911年の総人口は2686人に達し、うち約1600人を中国人が占めた。町周辺の人口も増え、同年の調査では8470人が住んでいた。

 ジェッセルトンは1910年代初期にはすでに北ボルネオで最大のゴム輸出の港として栄えた。ゴムとそれを運ぶ鉄道により大きく発展したジェッセルトンの名は、1963年のマレーシア連邦結成後、キナバル山にちなんで「コタキナバル=キナバル町」と改名された。 ボルネオ鉄道は第二次世界大戦中に日本軍により壊滅的に破壊され、戦後、10年ほどかけて復旧工事を行った。しかし、その後、道路が各地を結び交通が便利になったことと、鉄道の運営費が嵩んだことなどから次々と路線を廃止。2000年になってやっと北ボルネオ鉄道として復活し、改良などを経て現在に至っている。

葉一洋


2011/11/04 | カテゴリー:マレーシア摩訶不思議

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