2011年5月-ミドリカラスモドキ

 宏観異常現象とよばれる現象がある。大地震の直前に現れる震源地上空の発光や井戸の水位変動、超低周波音、動物の異常行動といったものだが、地震との関連性が指摘されるものの科学的には解明されていない。ナマズが暴れるという伝承などもその一つで、スマトラ沖大地震・津波の際には、ゾウが危険をあらかじめ察知して人を救ったという話もある。

 先の東北地方太平洋沖地震の際にもカラスが夜中にカーカー鳴いていたという報告があるそうだが、マレーシアにもカラスはいるが、カラスという名のついた鳥がほかにもいるのでこれに注目したい。

 家の近所でよくみかける「ミドリカラスモドキ」(Asian Glossy Starling もしくはPhilippine Glossy Starling)がそれだが、ムクドリ科の20センチほどの光沢のある濃緑色の羽をした鳥で、市街地でエサを漁っていたりする様子が小さなカラスを連想させるためにこの名が付いたのだろう。鳴き声はピーッという感じでカラスとはまったく違う。幼鳥は背中がこげ茶色で黄色かかった腹には斑紋があり、これまた親とは似ても似つかない。赤い目が特徴的で体色がマントのように黒っぽくみえることもあり、昔の吸血鬼映画にでてきた赤いコンタクトレンズをつけて目を血走らせていたドラキュラを思い出す。僕は、彼らが不気味な外見の陰に「本家」のカラスを上回るような得体のしれない秘められた能力をもっているのではないかと秘かに期待しているのだ。

 ところで、残念なのは名前の「モドキ」だ。せっかくクールな外見をしているというのに、このヒョーキンな響きの言葉がついているのがまことにアンバランスで惜しい。本家本元とは似て非なるものという意味で名付けられたものといえば「ニセアカシア」とか「ゴミムシダマシ」などがあるが、もとよりどちらが本家でどちらが分家ということは動植物の世界にはないので、人間に勝手に「ニセモノ」だと決め付けられてご本人たちはさぞかし迷惑しているだろうと同情を禁じえない。「モドキ」はまだいい方で、動植物の世界では罪もないのに「ナマケグマ」「アホウドリ」「バカガイ」などと差別的な呼ばれ方をされているもっと気の毒な連中が大勢いる。虎視眈々と人間に復讐する機会を伺っているのかもしれないのだ。

伊藤祐介

2011/05/12 | カテゴリー:自然のはなし

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