葡萄酒 百味旅 ~最初のひとくち 想いの滴~

第12回 =特別編=ウイスキーのお話

ウイスキー。食事中は水割りかハイボール。寝酒ならストレートかロック。好きな時、好きな量が飲める。なんとも便利な酒である。

◆ ◆ ◆

今回は、いつもとは趣向を変えて、ウイスキーのお話。では早速。ウイスキーはなぜ琥珀色をしているのでしょうか。できたてのウイスキーは無色透明です。そのウイスキーの赤ちゃんが、年月と共にあの美しい琥珀色へと変化します。なぜだか分かりますか? 
その理由は「樽」。ウイスキーのラベルに、10年とか16年なんて書いてありますよね。その長い時間、ウイスキーは樽の中で熟成され、様々な変化を起こします。樽の材料である木の成分がウイスキーに溶け込み、香りや味わいがゆっくりと複雑みを増していきます。また、樽の色素によって、ウイスキーはその色合いを徐々に変えていきます。長い時間に渡って樽熟成をするため、アルコール分が少しずつ蒸発し、量が減ってしまいます。この減った分を、本場スコットランドでは「天使の分け前」という言葉で表現しています。素敵ですね。
ウイスキーの熟成に欠かせない「樽」。さらに、その歴史の面白さにも触れてみたいと思います。
ウイスキーの本場スコットランドでは、15世紀ごろすでにウイスキーが造られていたようですが、樽での熟成はまだされていませんでした。時は下り18世紀初頭、イングランドによるスコットランド併合に伴い、ウイスキーに対する課税がとても厳しくなりました。スコットランドの生産者は、税と役人の目から逃れるため、山奥のさらにその奥へ。そこでウイスキーの密造を始めます。
当時、イングランドでブームとなり、こぞって飲まれていたお酒がありました。それがスペインのシェリー酒。スペインの南から、樽に詰められ船で大量に輸入されていました。中身のシェリー酒は飲まれますが、樽は再利用の術もなく放置される。税から逃れ、ウイスキーを密造したはいいが、いつ換金できるかはわからない。とりあえずの隠し場所として最適だったのが、使い道のなかったシェリー酒の空樽。数年後、樽に隠されたウイスキーが琥珀色に変色し、味わいもまろやかになることが発見されます。
皮肉にも、この「ウイスキー密造時代」が、「樽熟成」という副産物を生みだしたわけです。
奥深きウイスキーの世界。ぜひお試しあれ!

82Sion-646357ee689c767c6f3df2d885821190_l

塩見 正道

2018/03/22 | カテゴリー:葡萄酒百味旅

このページの先頭へ