葡萄酒 百味旅 ~最初のひとくち 想いの滴~

第10回 ソムリエ田崎眞也氏が起こした奇跡

不可能な事などない。ファミリーマートの「おでん」を食べてそう思った。誰があれを想像しただろう。あのシステム、あのクオリティを、マレーシアのコンビニで維持するということを。品質管理、衛生問題、味の均一化。ここはマレーシア。日本のマニュアルを当てはめればできる、そんなわけはないだろう。山と積もる問題を、海の如く深い苦難を乗り越えたはずである。マレーシアに「コンビニおでん文化」を確立し根付かせ、しかもマレーシアの人が喜んで食べている。企業努力という言葉では足りない。これはまさに「奇跡」である。

さて、世界中のソムリエ達が一度は夢見るものがある。それが3年に一度開催されているソムリエの世界大会。その名の通り、「世界一のソムリエ」を決める大会。昨年第15回大会がアルゼンチンで行われ、世界各国・地域の予選を勝ち抜いた58ヵ国60人のソムリエたちが、ワインの知識、テイスティング能力、サービス技術を競い合った。
そして時はさかのぼり1995年、日本で行われた第8回大会で見事優勝したのが田崎眞也氏。それまでの優勝者はヨーロッパ勢のみ。いや、前15回大会までにおいても、ヨーロッパ勢以外の優勝者は田崎氏のみ。もちろん、これはまぐれや、日本開催だから日本人が・・・、などといったものではない。
大会前から田崎氏は優勝候補に挙げられており、その実力はすでに世界が認めていた。だが、やはり日本人がソムリエ世界一になったということはあまりに衝撃的なことであった。まさに奇跡。常人ならぬ努力によってその奇跡を起こし、今日の日本におけるワイン文化の根底を築いた田崎氏。私が心から尊敬するソムリエである。
今年1月から始めたマレー語のプライベートレッスン。仕事が忙しいという言い訳はあるが、たいして上達していない。初歩的な質問に答えられない私、いらだつ先生、いつも肩身が狭い。息子4歳の誕生日に「歌のプレゼント」と始めたウクレレも、いまだ一曲しか弾けず。こちらもたいして上達していない。それでも絶対諦めない。いつかペラペラとマレー語を喋り、昭和の「流し」の如くウクレレを弾き歌う自分を想像している。「努力はいつか奇跡を生む」。先日、暑い国のおでんが、私にそう教えてくれた。大事なことは「絶対にできる」という心。そしてそれを抱きしめて、いつまでも離さないこと。継続は奇跡なり。

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塩見 正道

2017/11/29 | カテゴリー:葡萄酒百味旅

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