葡萄酒 百味旅 ~最初のひとくち 想いの滴~

第7回 ワイングラスの持ち方について

私はソムリエですが、料理人です。元パプアニューギニア日本国大使館の公邸料理人です。様々な設宴(大使主催の食事会)のなかで、一国の首相、国家元首等々の方々に対して仕事させていただいた事は、私の誇りとして色褪せることなく、この胸に刻まれています。

さて、今回はこんな話をしてみたいと思います。あなたはワインを飲む時、ワイングラスのどこを持ちますか? その持ち方は、本当に正しいマナーですか?
一般的にワイングラスの形状といえば、上からワインを注ぐ部分(ボウル)、脚の部分(ステム)、そして土台になります。これを読んでいただいているあなたを含め、ほとんどの日本人がワインを飲む時、ステムを持っておられるでしょう。もちろん、「それは間違いだ!」とは言いません。ただ、天皇陛下、エリザベス女王、アメリカ大統領が公式晩餐会の中でワイングラスのどこを持っておられるかというと、ボウルの部分です。世界中の公式晩餐会に参加される方々は、例外なくワイングラスのボウルをしっかり持っておられます。ではなぜ、日本人はステムを持つのか?
ソムリエがワインの状態を確認する時、まず色を見ます。ボウルの部分を持っていてはその確認ができません。さらに香りと味わいをより際立たせるため、スワリングをします。ワインの入ったグラスをクルクル回す、あれです。ステムを持ったほうがやり易いですよね。
そして日本におけるワインブームの立役者といえば、ソムリエの田崎真也氏。1995年世界ソムリエコンクールで日本人として初めて優勝し、ワインという新しい文化を日本で爆発させました。彼はソムリエなので、ワインをテイスティングする際、ステムを持ってスワリングをします。その光景がテレビで放映され、それを見た日本人は「それがワインの正しい飲み方」だと認識し、さらにいえば日本人の「美意識」がボウルではなくステムを持つほうを好み、気づけばすっかり「ワイングラスはステムを持つ」という考えが定着した、というのが、日本人が好んでステムを持つようになった理由なのです。
大使公邸での設宴は様々です。立食の場合もあります。その際はワイングラスのボウルをしっかり持つのがマナーです。間違ってこぼす事のないように。

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塩見 正道

2017/11/07 | カテゴリー:葡萄酒百味旅

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