スー弁護士の法律相談の記事一覧

2011年8月号-医療問題

歯科医院でブリッジのために4ヵ所に被せ物をしました。しかし、うち3ヵ所ははがれ始め、さらに治療した部分が腫れあがり、かなり痛みました。歯科医に相談し、再度治療を受けましたが、一向によくならないため、別の歯医者に行きました。するとその歯科医は、基本的な治療を施していないので症状が悪化していると判断。どうすればいいのでしょうか

まずは、このような状況で、最初に治療を担当した歯科医に何を求めるかを整理しなければなりませんが、ほとんどの場合、①謝罪、②釈明、③治療費の返還、④訴訟を求めることになると思われます。患者は不満に思っていること、つまり、何が問題でどこが間違っていたのか、さらに何を説明してもらいたいのかなどを書面にまとめ、その歯科医(または看護師、病院の経営者など)と話をする場を設けるよう要求します。

 しかし、満足した結果が得られない場合は、賠償金や慰謝料を求めることができます。「医療過失」として弁護士にできるだけ早い時期に相談することをおすすめします。「医療過失」の訴訟を起こしたら、「医療過失」であることを裁判所で認定してもらうことが必要なため、次の点を証明しなければなりません。

 1.被告である歯科医が治療義務を怠っていたこと。
 2.その歯科医が治療に必要な水準に達しておらず義務を怠った。
 3.その義務の不履行により起こり得そうもない損傷を負った。

 医師は、妥当な治療水準をもっているかどうかで判断されます。「医療過失」の場合、この水準が、医師の行為の一部に明確な過失があったことを正確に指摘できることになるのです。患者は苦痛による賠償を求めることができます。また、精神的な苦痛による慰謝料の請求もできるうえ、被告である医師が本来すべき治療をほかの医師が行った場合、その治療費などを請求することも可能です。

 「医療過失」において、「医療記録(カルテ)」は最も重要な証拠となることを忘れないでください。。

 

ラディ・スー(RaddySoo)


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2011年08月05日
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2011年7月号-遺産問題

日本人の主人とマレーシアに滞在し、かれこれ6年が過ぎました。子供達はそれぞれ独立し日本に住んでいます。去年、主人が突然倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまいました。その後日本の子供の所にお世話になる事も考えたのですが、このままこの地で住みたいと考えています。

 問題は主人の遺産です。主人の名義になっている家と銀行の口座がすべて凍結され、私が手をつける事ができません。幸い、日本からの送金があるので何とか食べていけますが、このまま凍結を放っておくと、遺産がすべてマレーシア政府のものになると聞きました。すでに半年以上も経っているのですが、主人の遺産を相続する方法を教えてください。

 お悩みのご主人の遺産は、マレーシアの法律に従って正当な受益者に与えられることになっています。もしご主人が遺言書を残していれば、その遺言書に従って「検認承認書(Grant of probate)」 という証明を裁判所から取得し、銀行口座などを含むすべての遺産を遺言書上に指名された受益者に配給されることになります。遺言書があれば、亡くなられた方の遺産を渡したい相手にきちんと譲渡できるわけです。

 ご主人が遺言書を残していない場合、ご主人の遺産は配給法条例1948年(1997年に改正)に基づき、配分される事になります。(例:遺産が10万リンギットで配偶者と子供がいる場合、配偶者がRM33,333・子供がRM66,666.66)。これはマレーシアの法律に従って正当な受益者が、「遺産管理の承認書(Letter of Administration)」を裁判所から取得します。

 いずれの承認書でもご主人の遺産を管理している機関(例えば銀行や土地局など)で認められたあとに、それらの遺産がすべて受益者に移されます。

 もし受益者が裁判所でそれらの承認書を取得できない場合、不動産の移転が不可能となり、銀行口座は凍結されてしまいます。凍結された銀行口座にある残高は一定期間を経てマレーシア政府管轄の別口座に移動されます。ただそれらは、遺産管理の承認書または検認承認書を提出すればきちんと戻ってくるようになっていますが、時間はかかってしまいます。従って、なるべく早く承認書を取得する申請を高等裁判所に行うことをお勧めします。

ラディ・スー(RaddySoo)


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2011年08月04日
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2011年6月号-雇用問題-みなし解雇

生産関係の工場で会 計担当として2年勤務、数ヵ月前の契約更新後から、私に対する社内の態度が変わったよう に感じはじめました。日本人ス タッフ会議があったにも関わら ず、私にだけ知らせがなかったり、 業務が会計担当のはずが、最近は工場の従業員のチェックや営業に出る事もあります。また、更新後から家賃補助もなくなり、帰宅時間も以前と比べるとかなり遅く、 また日本人上司や他のスタッフとの関係もあまりよくなく精神的にかなり参ってきています。元の会計の仕事をしたいし、時間も定時に終わりたいのですが、上司に掛け合っても無理みたいなことを言われました。こういうのは、法律で守られるんでしょうか?

 雇用主による不当な扱いに対して被雇用者が退職せざる終えない状況になった場合、それが被雇用者からの契約破棄であっ たとしても、これを「みなし解雇」 とみなします。被雇用者は、雇用主の、その扱いに対して「みなし解雇 された」と申し立てる事ができます。 被雇用者は、必ず雇用主に対してレ ターを発行し、不当な業務により自身が被った被害(例えば本来の業務・ 家賃等の待遇など)を「みなし解雇」として訴えます。1967年産業関連法のセクション 20 において、「被雇用者は雇用主のみなし解雇の不当性について、解雇された、または金銭的に賠償されたとする日より 60 日以内に産業関連部へ苦情を申し立てる事ができる」とあります。「みなし解雇」として訴訟請求ができる状況は、「勝手に給料、コミッション、手当てを減らされた」、「雇 用契約書で保証された車、家、接待費、食事、洗濯サービスなどの手当てが取り消された」、「今まで専用に使用していたもの(例えば会社の直通電話回線・部屋や私設秘書など)が使用不可あるいは返却された」、「給与と手当ての変更が あるなしに関わらず降格された」、 「雇用契約書には詳しく記載されて いないが、別の地域へと移動され た」、「今までの業務内容と大幅に違って、自分の能力限界以上の仕事を与えられた」、「離職の脅しをするような場合(非常に達成が難 しいノルマを与えられた・小さな ミスを見つけては批判する・パワー /セクシャルハラスメント)の被害を被った」、などがあります。

 

ラディ・スー(RaddySoo)


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2011年06月05日
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2011年5月号-雇用問題―ある会社の悩み

会社のマネージメントをしています。ローカルスタッフと私の関係、スタッフ同士の関係も良好で、みんな仕事は真面目にしてくれますが、スタッフの遅刻や欠勤が目立ちます。何度かそれとなく注意をするものの、少し時間が経つとまた同じ事の繰り返しで、どうやって態度を改めさせるべきか悩んでいます。あまり厳しい態度に出て辞められるのも、他のスタッフへの影響を考えると得策ではないように思います。法律的に、何かよい知恵があればお借りしたいです

 どこの会社でもありうる問題ですよね。理由もなく遅刻や欠勤が目立ち、それが会社規約に違反するような場合は、そのスタッフに対して「勧告レター」を出すことができます。このレターを通して、そのスタッフの勤務態度がきちんと改善するよう伝え、それでも改善が見られない場合はどうなるのかを教えなければいけません。例えばあらかじめ監視する期間を設定し、その期間内の出勤状況を厳しくチェックする事も必要です。雇用法第14(1)条には、被雇用者(ここではスタッフ)の不正行為に対して、審査を行い、不正が確認された場合、(a)通告なしの解雇(b)降格(c)一時停職(2週間以内)、と記載されています。また、雇用法第15(2)では、雇用主の了解を得ず及び雇用主に話す手段がありながら連絡もせず、また、理由なく2日間以上連続して会社を休んだ場合は、被雇用者は雇用契約書を破棄したとみなされます。雇用主は、そのスタッフがどうして遅刻や欠勤を繰り返すのか、まずは話をよく聞き、分析してみることも必要かと思います。そのうえで、専門家にスタッフの教育を依頼する、毎月遅刻欠勤がなければ何か特別な優遇を考えるなどの方法も考えてみてもよいのではないでしょうか。反対にスタッフには厳しい態度で臨み、会社のポリシーをきちんと守るように軌道修正をするのも一つの方法ですよ。

ラディ・スー(RaddySoo)


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2011年05月06日
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2011年4月号-マレーシアにおける離婚の手続き

アメリカ人の主人と離婚することになりました。離婚の手続きですが、現在マレーシアに住んでいるので、母国に帰って手続きを勧めるには時間と費用がかかってしまいます。マレーシアにある各々の大使館に届け出を出せばよいと聞きましたが、その前にマレーシアの国の法律にのっとった手続きも必要だと聞きました。どんな手続きなのでしょうか。

マレーシアで婚姻登録をしていなくても、マレーシアに2年以上住んでいれば、離婚の申し出をすることができます。マレーシアでは非ムスリムの離婚には、「双方承諾による離婚」と「片方の請願による離婚」の2つの方法があります。前者は「協議離婚」といい、子供たちの教育や財産などについて双方の話し合いによって自由に決定できます。後者については次にあげる4つの原因から申し出ができます。①相手の不貞、②性格の不一致により婚姻の継続が困難、③どちらか一方の2年以上の義務違反(悪意の遺棄)、④別居が2年以上経過。

 一般にマレーシアにおける離婚手続きは、すべて裁判所への申し出になるので弁護士の介入が不可欠です。

 協議離婚手続きの一般的な流れは、①弁護士に相談し、子供の教育や財産の分配等を相手側に提案する書類を作成、②弁護士が準備した離婚申立て書と関連書類に署名、③高等法廷裁判所へ申請書類を提出し、聴聞日を待つ、④弁護士と一緒に聴聞する、⑤裁判官から判決書(CourtOrder)が出てから約3ヵ月後に、裁判所から離婚証明書が発行される。

 また片方の請願による離婚手続きの流れは、①請願者の要求に沿って、弁護士が相手側に対し、離婚の意思と協議離婚の提案を伝える正式なレターを発行、②相手側が協議離婚を拒否した場合、請願者側の弁護士は6ヵ月以内に3回にわたってJPN(Jabatan Pendaftaran Negara 国家登録局)の婚姻調査部へ調停を申し込む、③離婚申立て書に署名し、高等法廷裁判所へ提出する、④聴聞日を待つ。

 通常、協議離婚は6〜9ヵ月で完了できますが、片方の請願による離婚はさらに時間がかかってしまいます。もし争うことになればかなりの時間が必要になるでしょう。

ラディ・スー(RaddySoo)


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2011年04月05日
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2011年3月号-人身事故を起こしてしまった…

飲酒運転で人身事故を起こしてしまいました。バイクが車の右後ろについていて、確認をしたつもりだったんですが、車線を右に変更しようとしたところ、ドンという音がしてぶつかってしましい、そのままバイクは倒れてしましました。あわてて外に出てみたら出血していたので、急いで救急車を呼び病院に運びましたが、打ち所が悪かったらしく、亡くなりました。警察で事情聴取され、刑事事件として扱われるそうです。飲酒していたということもあり、保険が降りるかどうかも心配です。

飲酒運転で事故を起こした場合、飲酒量によって保険が下りるかどうかが決定すると勘違いする方がいますが、実際は飲酒量に関係せず、道路交通法に従い被害者への賠償が義務付けれれています。通常の状態で事故を起こした場合は、事故を起こした運転者と被害者の双方が賠償保険の対象になります。しかし飲酒運転や薬物摂取の結果起こした事故の場合は、ご自身の車の破損や怪我などには保険賠償できない可能性が高いでしょう。ただ被害者に対しては飲酒運転であっても保険賠償ができます。 車の保険は、運転者は必ず加入しなければいけません。1987年道路交通法条例により、運転者は最低でも第三者への賠償保険に加入することを義務づけられています。これは運転中に第三者を怪我または死亡させた時に、保険会社が第三者に賠償金を支払うものです。 裁判所は、公共上の観点から加害者が及ぼした影響の度合いによって、公平に然るべき刑を決定するものです。刑を覚悟した上で自身の有罪を認めれば、情状酌量の申し立てをすることができます。情状酌量の申し立てとは、罪が軽くなるように裁判所に嘆願することで、そこには過去の犯罪歴がないこと、有効な免許証を所持している、犯罪に関係するバックグラウンドがないか等が前提となります。この情状酌量が認められれば実際の刑は大きく変わる可能性が高いでしょう。 ちなみにマレーシアの1987年道路交通法、車両及び運転の条例によると、重い刑は①懲役 ②罰金 ③免許の取消、となります。

ラディ・スー(Raddy Soo)

 

2011年04月01日
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2011年2月号-交通事故にあった時の対処法

見晴らしの良い道路で信号待ちをしている時に、後ろのトラックにぶつけられました。 車の後方ガラスが割れ、バックシートには割れたガラスが飛び散ってしまいました。トラックの運転手が降りてきて話しかけてきたのですが、 マレー語なので全然分からず頭のな かはパニック状態。ローカルの知り合いに電話し、彼に運転手との交渉 や保険などもすべてやってもらいま した。当事者として、このような時 にはどんな行動を取るべきなのかを 教えてください。まず第一に冷静になるように努めましょう。自分に怪我がないかを確認してください。 そして、相手側の車の登録番号、車 の種類や色、会社の所在地や連絡先、 相手のID 番号や運転免許証番号、住所なども控えておきます。もし携帯にカメラ機能があれば、損傷した部分や事故現場などを撮っておくと良いでしょう。万が一裁判所になった 時には立派な証拠となるからです。 その後、できるだけ早く、遅くと も 24 時間以内に警察署に出向きます。警察署では状況説明は正直に判りやすく話し、所定の用紙に事故状 況を警察の指示に従って記入し、ポ リスリポートを作成します。これにより、後に後遺症などの問題が起き た場合や裁判になった場合でも立証できます。怪我をし、入院した場合は病院に駐在している警察官に届出をする事もできます。病院からは必ずメディカルレポートを入手してお きます。 その後は保険の請求です。事故に遭った時には、すみやかに自分の保 険会社に連絡をして、保険会社から アドバイスをもらいましょう。ちなみに車の破損は保険会社の指定する 修理工場で車の修理を行います。相手側の過失による場合は、ご自分の保険会社を通じて相手側の保険会社へ交渉してもらうか、もし相手側の保険会社と直接連絡できるなら、相手側の保険会社が指定する修理工場で車の修理を行います。ポリスリポートやメディカルレポートなど、事故に関して自分が先に支払った領 収書は保管しておき、相手側の保険会社へ請求します。事故現場で、相手側から示談をもちかけられる事も あるでしょう。示談に応じるかは自身の判断ですが、原則的にはその場で示談にしない方がよいです。示談 にしてしまうと保険の請求ができな くなる可能性が高くなります。

ラディ・スー(Raddy Soo)

2011年02月05日
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