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2010年7月-セニョ~ム・インタビュー

脱マレーのマレーシアン・エンタメ映画興隆のキーマン

アフドゥリン・シャウキ監督

 2009年7月、海外で高い知名度と人気を誇ったヤスミン・アーマッド監督を失った映画界ではあるが、彼女の精神は遺産として引き継がれている。昨年の映画市場は、インド国籍カビール・バティタ監督の『Setem』、バーナード・チャウリー監督の『Pisau Cukur』など、非マレー系監督による娯楽作品の好調ぶりが目を引いた。多民族キャスト、普遍性のあるストーリー、そしてエンタメ作品たる質を備えた商業映画の良作の公開が続き、長い間マレー系のものだけという傾向が強かった地元映画にマレー系以外の観衆を呼び込んでいる。脱マレー系の〝マレーシアン・エンタメ映画〞を語るのに忘れてはならないのが、ミュージシャン、舞台コメディアン、テレビ司会者と多彩な顔をもつアフドゥリン・シャウキ監督(39)。04年に『Buli』で監督デビューして以来、映画界に新風を吹き込んでいるキーマンだ。(文と右上写真 アサ・ネギシ)

 

 地元映画の脱マレー系の流れを語るとき、まず第一にヤスミン監督の『Sepet』(05)が挙げられるが、アフドゥリン監督の『Buli』も商業映画で大きな影響を残した作品である。自身が主演し、デブなことでいじめられる主人公をコミカルに演じたこの作品は、着想が斬新だったことに加え、アドリブによる笑いを盛り込み異彩を放った。以降、アフドゥリン監督は、4人の男たちが繰り広げる奇妙なストーリー『Baik Punya Cilok』(05)、相撲に打ち込む青年を描いたumo Lah』(07)、コメディタッチの推理ストーリー『Los& Faun』(08)など、新しい切り口の作品を発表し続けている。

 アフドゥリン監督は、作品のキーワードとして「笑いをローカル化しないこと」と語る。都市層の人種が様々な観衆を前に笑いを磨いてきた舞台コメディアンとしての素地が、独自の作風を生み出しているようだ。

 地元映画変革の背景には、制作者側の意識の変化がある。アフドゥリン監督は、現在の映画界の状況を「作り手もマレー系大衆から非マレー系を含む都市層の市場へと対象を変えつつある。プロデューサーが、表現に対しても、マーケティングに関しても勇気のある決断ができるようになったし、観客も受け入れつつある」と分析している。実際、新しいマレーシアン・エンタメ映画の支持層は、大学生が中心だという。今まで、ストーリーがシンプルすぎることやテーマがマンネリだった地元映画に目を向けなかった層である。

 その先に見えるのは、国際進出。昨年公開された『Papadom』は、仕事中毒の父親が妻を亡くしたことで、一人娘を溺愛。大学への進学で親元を離れる娘を心配するあまり、庭師として大学に潜り込みストーカーになるという笑いと涙のストーリー。今年3月行われた大阪アジアン映画祭で上映され、観客投票で12作品中3位にランク。アフドゥリン監督も訪日し、「笑いや泣き所など、期待通りの反応だった」とメッセージが伝わった実感を得た。

 国際進出の手ごたえを得たアフドゥリン監督は、「誰でも自身を投影できる人間の普遍性を備えたマレーシアの物語」を作って行きたいと抱負を語る。さらに「マレー系だけでなく、中華系やインド系のいる日常がマレーシア。マレー語の物語で、インド系ヒーローが登場してもいいんじゃないかとも思う」と、マレーシアの多民族社会を描くことも大きな強みになると考えている。娯楽性にこだわるアフドゥリン作品は、これからもマレーシアン・エンタメ映画の先頭を走り続けて行くだろう。

 地元映画の脱マレー系のだがれを語るとき、まず第一にヤスミン監督の『sepet』(05)が挙げられるが、アフドゥリン監督の『buli』も商業映画で大きな影響を残した作品である。自身が主演し、デブなことでいじめられる主人公をコミカルに演じたこの作品は、着想が斬新だったことに加え、アドリブによる笑いを盛り込み異彩を放った。以降、アフドゥリン監督は、4人の男たちが繰り広げる奇妙なストーリー『Baik Punya Cilok』(05)、相撲に打ち込む青年を描いたumo Lah』(07)、コメディタッチの推理ストーリー『Los& Faun』(08)など、新しい切り口の作品を発表し続けている。
アフドゥリン監督は、作品のキーワードとして「笑いをローカル化しないこと」と語る。都市層の人種が様々な観衆を前に笑いを磨いてきた舞台コメディアンとしての素地が、独自の作風を生み出しているようだ。
地元映画変革の背景には、制作者側の意識の変化がある。アフドゥリン監督は、現在の映画界の状況を「作り手もマレー系大衆から非マレー系を含む都市層の市場へと対象を変えつつある。プロデューサーが、表現に対しても、マーケティングに関しても勇気のある決断ができるようになったし、観客も受け入れつつある」と分析している。実際、新しいマレーシアン・エンタメ映画の支持層は、大学生が中心だという。今まで、ストーリーがシンプルすぎることやテーマがマンネリだった地元映画に目を向けなかった層である。

 その先に見えるのは、国際進出。昨年公開された『Papadom』は、仕事中毒の父親が妻を亡くしたことで、一人娘を溺愛。大学への進学で親元を離れる娘を心配するあまり、庭師として大学に潜り込みストーカーになるという笑いと涙のストーリー。今年3月行われた大阪アジアン映画祭で上映され、観客投票で12作品中3位にランク。アフドゥリン監督も訪日し、「笑いや泣き所など、期待通りの反応だった」とメッセージが伝わった実感を得た。

 国際進出の手ごたえを得たアフドゥリン監督は、「誰でも自身を投影できる人間の普遍性を備えたマレーシアの物語」を作って行きたいと抱負を語る。さらに「マレー系だけでなく、中華系やインド系のいる日常がマレーシア。マレー語の物語で、インド系ヒーローが登場してもいいんじゃないかとも思う」と、マレーシアの多民族社会を描くことも大きな強みになると考えている。娯楽性にこだわるアフドゥリン作品は、これからもマレーシアン・エンタメ映画の先頭を走り続けて行くだろう。

アフドゥリン・シャウキ監督の出ニュー作「BULI」

「Papadom」は大阪アジアン映画祭で上位にランクされた

2010年07月05日
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カテゴリ: セニョ~ム・インタビュー