2012年1月-マレーシア最新芸術事情
ペナンに新たな舞台芸術のハブ誕生!
昨年 11 月 11 日、ペナンに新しく誕生したStraits Quay に、penangpac(ペナンパック、正式名:The Performing Arts Centre of Penang)がオープンしま した。300席のTheatre と100〜150 席のBlack Box、そして4つのスタジオからなるこの本格的な劇場は、E&O Berhad とアクターズ・ スタジオとのコラボレー ションによって生まれました。KLのセントルにあるKLPacの芸術監督とエ グゼクティブ・プロデューサーであり、アクターズ・ スタジオの主宰者でもあるJoe Hasham & Faridah Merican(ジョー・ハシャム&ファリダ・メリカン) 夫妻の指揮のもと、これからはペナンでも、優れたマレーシアの、そして海外の作品を鑑賞できるようになりました。
実はアクターズ・スタジオがペナンに劇場をつくったのは、今回が最初ではありません。2002年 8月、Lebuh Light にThe Actors Studio, Green Hall という小さな劇場を完成さ せましたが、残念ながら3年ほど前に閉鎖となってしまいました。もともとペナンは文化的に豊かな都市。 伝統的なパフォーマンス Boria(ボリア、ど派手な 衣装を着た複数名がコミカルに歌い踊るもの)もありますし、中華系劇団もあります。決してポテンシャル がないわけではない。夫妻は再びチャレンジすること となりました。
11月のオープンから12 月末まではCelebration Month として数々の無料公演が行われましたが、この1月からが本格始動。まずは12 月にKLで好評を博したJoe Hasham 演出のミュージカル ” Malaysian Girls “ でスタートです。
さて、このStraits Quay、 海沿いに建ち、マリーナも隣接しているほか、 penangpac 以外にも ショッピングモール、ロイヤル・スランゴール・ビジター・センターやE&O ホテルまでのウォーターリ ムジンなど、アトラクショ ンがたくさん! モール自体もペナンでは珍しく午前1時まで営業しているそう で、今後ナイトライフの中心地となるかもしれませんね。
Straits Quay: http://www.straitsquay.com/
P e n a n g p a c : http://penang.org/
2012年01月05日
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2011年12月-マレーシア最新芸術事情
ミュージカルの年、2011年
今年の頭に、国立劇場イスタナ・ブダヤの2011年のプログラムは、マレーシア産のミュージカルが主流になると大臣が発表した旨をお知らせしました。そして、実際にそうなったこの1年を振り返ってみると、多数のミュージカル作品のなかでも今年の人気一番はやはり何といっても、9月29日から10月16日まで上演された”The Secret Life of Nora“だったのではないでしょうか。上演中は連日満員の上、追加公演まで行われたほど。1回の公演で2000人を収容できることを考えると、ものすごい数の人々が鑑賞したことになります。主役のノラを演じたのは、2004年に映画が公開され、2006年にミュージカルとして生まれ変わり、マレーシア演劇界史上記録的なヒットとなった”Puteri Gunung Ledang“で主役を務めたTiara Jacquelina。脚本と演出、セットおよびライティングデザインはイギリス人によるものでしたが、キャストとスタッフのほとんどがマレーシア人によって作られたこのミュージカルは、ティアラの魅力とその他のキャストによるエンターテイニングな内容がその人気の理由だったようです。
さて、そんなミュージカルの年を締めくくるのにもってこいの作品が、今月klpacにて上演されます。マレーシアならではの理想の美を追求し定義すべく企画されたマレーシアン・ガールズ・ショー。100%メイドinマレーシアの個性と美を祝福して数年間の成功を収めたあと、今年のショーの数週間前になって、創設者の一人サムサラが突如死去してしまい、事態は意外な展開に…。マレーシアを代表する「美女」たちが大勢登場するこの作品”Malaysian Girls“は、マレーシアにおける「美」の定義について考えることのできる、非常に面白い機会となるのではないでしょうか。キャスト、スタッフともに豪華なメンバーが勢ぞろいで、女性キャストたちの衣装をはじめ、楽しめそうな要素が盛りだくさんです。
”Malaysian Girls“はセントゥルにあるklpacにて、12月10日〜30日まで上演予定です。
2011年12月05日
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2011年11月-マレーシア最新芸術事情
ピート・テオはかっこいい
2006年の東京国際映画祭で、マレーシア新潮の特集上映が開催されたとき、映画祭事務局のマギー・リーという女性がある日のブログのタイトルに”Pete Teoiscool“と書いていました。その時も同感した私ですが、5年経った今、心の底からそう思います。ピート・テオはマレーシアきっての粋な男です。
シンガーソングライターが本職の彼ですが、ここ数年は、数々の映画に音楽を提供しているほか、役者としても活躍しています。また、既に26回目を迎えた”SONGWRITERS ROUND“シリーズなどの音楽イベントや、注目の若手映画監督達による15本の短編映画作品を集めた”15Malaysia“(http://15malaysia.com/)では敏腕プロデューサーとしてもその名を世界に知らしめました。
そしてここにきて、彼が新たにプロデュースした”UNDILAH“(www.undilah.com)が発表されました。”Undilah“は訳せば、「投票しよう!」ということ。マレーシアにはまだまだ問題がいっぱい、ならば自分たちの国は自分たちで変えよう!と、若者たちに、選挙登録及び投票を進めるミュージックビデオです。国や政府が、国民の選挙参加を訴えているものではありません。あくまでも一人のミュージシャンと彼に賛同した仲間たちが、自主制作で作ったものです。ビデオには、一般人から現役の政治家、バドミントン世界チャンピオンから人気の若手歌手までいろいろな人が登場します。下手すると日本では「寒い」とか言われてしまうかもしれない、このようなメッセージだらけのプロジェクト。こんなふうに、さらっとかっこよくこなせてしまうのは、ピートだけなのではないかな?と思ってしまうのです。
飾らない、気取らない。だからこそカッコいい。人によく気をつかうけれど、媚びることはしない。好きなものは好き、嫌いなものは嫌いとはっきり言う。(因みに彼が愛して止まないものの一つは、東京青山「まい泉」のカツサンド!)決してハンサムとは言えないかもしれません(失礼!)が、ゆるぎない自分のスタイルをもち、ものすごくクールに見えるけれど、心のなかは熱い。そんな彼の活動からは、これからも目が離せません。
2011年11月05日
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2011年10月-マレーシア最新芸術事情
日本で紹介されるマレーシア
今月、日本では、大規模な映画祭が2つ開催される予定となっています。
まず一つは、10月6日〜13日に開催される「山形国際ドキュメンタリー映画祭」。2年に一度開催される映画祭ですが、ドキュメンタリー作品の映画祭としては、日本で最も有名な映画祭と言えるでしょう。
そしてもう一つは、10月22日〜30日に開催される「東京国際映画祭」。この映画祭の大きな目玉の一つは、「アジアの風」部門で、毎年新しいアジア映画を日本に紹介しています。2006年にはマレーシア新潮と題された特集上映も組まれ、6人の監督の9作品が上映され、好評を博しました。
この10月に行われる二つの映画祭、どちらもマレーシア映画を上映する予定となっています。前者の山形では、Khoo Eng Yow(クー・エンヨウ)監督の『影の無い世界』。東海岸クランタン州で、政治に翻弄され、衰退の一途を辿る影絵”ワヤン・クリッ“ の現状に迫ったドキュメンタリーです。おそらくこの映画、マレーシアではプライベートな上映以外では観ることができない作品であろう(政治批判と受け取られる可能性が高いため、一般公開は許可が下りるか不明)と思われ、ぜひぜひ観てみたい! という思いが募ります。因みに、同映画祭では、マレーシア映画が久しぶりの上映となります。クー監督は、前述の東京国際映画祭マレーシア新潮の時に、長編フィクション作品で招聘された6人のうちの一人。今回はドキュメンタリー映画祭での招聘となりました。
また、東京国際映画祭アジアの風部門では、2006年以降マレーシア作品は常連となりつつあります。今年上映される作品の一つは、Edmund Yeo(エドモンド・ヨー)監督による”Exhalation“。昨年上映された”Inhalation“に引き続き、2年連続の上映となります。このヨー監督、現在早稲田大学にて修士留学中で、所属研究室との共同制作作品が海外の多くの国際映画祭に招待されるなど、輝かしい功績を残したことから、同大学において学術、芸術、スポーツの三部門において、それぞれ優れた成績を修め、模範となるべき学生に対して贈られる小野梓記念賞まで受賞してしまいました。現在、彼が構想を練っていて調査を続けているのが、マレーシアで生活していた、からゆきさんたちの物語。手伝うつもりでからゆきさんリサーチにすっかりはまってしまった私にとっては、ぜひ実現して欲しいと願う作品です。
2011年10月05日
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2011年9月-マレーシア最新芸術情報
あなたにとって KL とは? - 写真展に参加してみませんか -
あなたはKLが好きで すか? 嫌いですか? あなたにとってKLとはどんなところですか? 故郷を遠く離れた日本人の方々にも、KLに対する思いは様々あるはずです。
コンテンポラリーアートを扱う商業ギャラリーとして有名なGaleri Chandan と、ヴィジュアル・アーティストのISE @ Roslisham Ismail 率いるその仲間達のグルー プParking Project の共同企画、「KL Surgery: Dissecting KL through Lense ( レンズを通してKLを解剖)」。アーティス トのみならず、様々なバックグラウンドをもった、 様々な人々による、思い思いのKLの写真を展示して、その名の通り、KLを大解剖しようという のがこのプロジェクトの試みです。マレーシア人でなくても、外国人でも観光客でもOK。写真を撮りなれない人でも、良いカメラを持っていない人でも問題なし。逆に言えば、観光ガイドに出てくるようなありきたりのものでなく、あなたにとってのKLの姿、風景を、コンパクトカメラや携帯電話のカメラで写し、送ればよいのです。送り先はklsurgery@gmail.com。 送付できるのは一人1枚のみ。本来の締め切りは 9 月5日だそうですが、 ハリラヤ休暇が入ること もあり、Senyum を読んで応募される方には、特 別に9月15 日までの締め切りを延長してもらいま した!
詳しくは、facebook 上のファンペー ジ ” K L S u r g e r y b y Parkingproject & Galeri Chandan “ にて御確認下さい。選ばれた作品は11 月に Solaris Dutamas に移転後 の新しいGaleri Chandan にて展示される予定です。
ということで考えてみ ました。私にとって、K Lを象徴するものとは、場所とはどんなものだろ うか? あ、これ一枚の 写真に収めようと考える と、結構難しいですね。 すぐに思い浮かぶ好きな ものや風景は、ナイト・ マーケットやカジュアルなレストランなど、恥ずかしながら食べ物に偏ってしまいそうです。ハリ ラヤなどの長期休暇目前に帰省を心待ちにしてワクワクする人たちが増えるのも、KLならではの楽しい風景です。 縁があってのせっかくのKL滞在。あなたにとっての”この街“ を、写真で表現してみませんか?。
2011年09月05日
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2011年8月-マレーシア最新芸術情報
近年マレーシアでは国産では 映画が増加傾向にあり、昨年40本ほど製作されていま場しました。 塗り替える大型ヒット作も登 今年は歴代興行成績を大きく 品人気により拍車がかかり、 ごとにそれらのジャンルの作 降からみられ始め、年を追う は、この傾向は2000年以 ディ以外のジャンルに関して ホラーとなっています。コメ 暴走族映画、コメディまたは 者を主人公にしたギャング・ を占めるのは、たいていが若 すが、その興行成績のトップまずは1月13日に公開されたホラー映画Khurafat” 。“結婚して幸せに暮らすJohanとその妻が、Johan の心を奪図った彼の元カノ い戻すことに失敗し、自殺をAnna の呪ギット。公開時点で歴代 収入はなんと800万リン うには聞こえませんが、興行 あまり凝った中身の作品のよ いに苦しめられるという話。2位の記録を誇りました。
そして今(6月29日現在)公開中のKL Gangster” は“ 、ハンサムな俳優二人( であるシンガポール出身の ターもの。私のお気に入り その名の通りギャングスAaron Aziz と Adiputra)が、ギャングスターの世界に生きる兄弟を演じています。この映画は6月9日から公開され、マレーシア国産映画であると認定された作品が得られる特権の Wajib Tayang (強制上映)期間の2週間に、興行収入1000万リンギット達成。1ヶ月の公開期間中に1200万リンギットは達成するだろうと言われています。
さて、前述2本の映画を監督したのは、Syansul Yusof。90年代に大ヒット映画を数々世に送り出し、今もなお大衆に人気の連続ドラマ”Gerak Khas” や “Si Capek” などを作り続ける、監督兼俳優の Datuk Yusof Haslam を父に持つ彼は、父が監督する人気ドラマで脇役として俳優業をスタート。2008年に初の監督作品 “Evolusi KL Drift” で脚本、主演を努め、ヒットを飛ばしました。その後、2009年に監督した ”Bohsia Jangan Pilih Jalan Hitam” 2010年の “Evolusi KL Drift 2″ も共にヒット作になり、今年はすでに2本公開されている上に、年末までにあと2本の公開を控えているそう。彼は今や、マレーシアきっての超売れっ子監督となりました。
彼の作品のストーリーは、基本的にはわりと単純で、そこにはやりの要素とマレー系の人々が特に好む”嫉妬”のエッセンスを加えて、非常に大衆受けしやすい内容となっています。英語字幕はないかもしれませんが、そこは大丈夫。映像だけでもかなり話が追えますので、ぜひ肩の力を抜いてご覧下さ〜い。
2011年09月02日
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2011年7月-マレーシア最新芸術情報
Laman Santai 知る人ぞ知るディープなKLの楽しみ方
以前に、このコラムで死角のJalan Tun Razak というのを書きました。 Jalan Tun Razak にある建物の中で、ローカルの人々にとって最も知られているのはジェネラル・ホス ピタル(通称 GH)。その向かい側に並んで立つ国立劇場のイスタナ・ブダヤ(Istana Budaya)と国立美術館のバライ・スニ ・ルキス・ネガラ(Balai Seni Lukis Negara) は、 なかなか皆さん足を運ぶ 機会がない場所かもしれません。ローカルの人に とってもそれは同じ。芸術関係者やファン以外は、 なかなか訪れることがありません。
ところがその2軒の建物の間の駐車場エリアは、 毎週土曜日の夜、ちょっ とした賑わいをみせます。 屋外ステージとその後ろに5〜6軒の屋台が並ぶ 「Laman Santai(ラマン・サンタイ)」は、イスタナ ・ブダヤ あるいはおそら く情報・コミュニケーショ ン・文化省が主催となっ て、数年前から毎週土曜日の夜に開催されているものです。屋台では午後6時ごろから、ナシ・レマッ、サテー、ロティ・ブーン、フレッシュジュース その他飲み物が販売され、 8時過ぎになるとステー ジでのパフォーマンスが 始まります。以前は何名 かの歌手が数曲ずつ歌ったりしていたのですが、 最近ではより多くの歌手や俳優達が、その日のテー マに合わせて1、2曲ず つ披露しているようです。 登場するのは皆、中堅どころの歌手やちょっと話題の新人、よくテレビドラマで見かける俳優達ば かりなので、それをお目当てに一般の人々が家族連れでやってきます。
先日私が訪れたときは、月末にイスタナ・ブダヤ で行われる 60 年代の音楽をテーマにしたミュージカルのプロモーションも兼ねていたようで、ステージ前には可愛いベスパが並べられ、出演者は皆 60 年代風の衣装に身を包んで歌ったり踊ったり していました。とはいえ、 キャーキャーと騒ぐよう なイベントでは決してな く、集まった人は皆、まっ たりと週末の夜を楽しむ、 といった感じでしょうか。
実際の舞台出演者がこういった無料イベントに出演して、出番がないときは一般の人に混じって会場で食事をしたり、気さくにサインや写真撮影に応じたりしている辺りが、非常にマレーシアっぽいな、と思いました。
2011年08月04日
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2011年6月-マレーシア最新芸術情報
情熱のパーカッショニスト
彼との衝撃的な出会いは、2002年9月。私がマレーシアで初めて訪れたコンサートでのこと。今はなき、独立広場地下のアクターズスタジオシアターで行われたそのコンサートは、ガムランクラブというグループによるもので、狭いステージにぎっしりとガムランの楽器が並べられ、小さなスペースで演奏者と観客が一体となって、リラックスしながら楽しめる素晴らしいコンサートでした。その後数々のコンサートで分かったのですが、ガムランクラブのメンバーは、演奏する際にほとんど楽器を見ることはなく、正面を見てそして常に笑顔で演奏し続けるのが一つの特徴なのですが、そのなかにひときわ楽しそうに演奏するパーカッショニストを発見! 彼の名前はKamru lbahri Hussin(カムルルバハリ・フシン)。薬丸裕英を細くしたような顔立ち(でもそっくり!)で、体全体で音楽を楽しんでいるその姿に、こちらまでワクワクと心が弾んできます。プログラムを見てみると、どうやらガムランクラブのメンバーではないらしい。いつかまた彼の演奏に出会えることを願いながら、その日は会場を去ったのでした。
しかしその後、伝統音楽のコンサートで、ジャズのライブで、RTMのバックミュージシャンとしてなどなど、彼はいろいろなところに頻繁に登場してくることが発覚。しかもどのジャンルと組んでも上手いし、やっぱり楽しそう! どんどん彼のとりこになっていきました。私の主人などは、街やイベントで見かける度に、「大好きですっ!」といって握手しに行くほどの熱狂振りです。
クランタン州出身のカムルル氏は、幼少時代からお父様の影響で伝統音楽に触れる機会が多く、小学校2年生の時には演奏家のおじさんたちに混ざって演奏をしていたのだそうです。最近では、自らが教壇に立つ芸術大学での授業が忙しく、なかなか大型のコンサートには参加できないそうですが、それでもTVの音楽番組やシンプルなコンサートには登場するそうですので、ぜひみなさん、やっくん似のカムルルさんを探してみてくださいね。
2011年06月05日
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2011年5月-マレーシア最新芸術情報
震災に対するマレーシアアート界の動き
3月11日に起きた東北太平洋沖地震直後から、マレーシア人の友人達が、電話やSMSメッセージをたくさん寄せてくれました。日本にいる私の家族や友人を心配すると同時に、特に被害の様子が明らかになってきた震災3日後辺りからは、多くの芸術関係者からも、「私にできることがあったら何でも言ってください」といった言葉をもらうことが多くなりました。
そしてその数日後からは、より具体的なアイデアで日本のために募金活動をしたいという声が聞こえてくるようになりました。ブキッ・ビンタンで太鼓のパフォーマンスをする複数のドラムサークル、募金活動に合わせ、日本への祈りをこめた折鶴を折るキャンペーンをはじめたショッピングセンター、また3月末から日本の脚本家の芝居を上演することになっていたKLPacの演出家は、そのうちの公演一つを全くのチャリティーにすると言い出すなど、それぞれの方法で、被災者の方々のための募金活動を行ってくれました。
今回、この日本で起こってしまった悲劇に対して、マレーシアの人々から寄せられた温かい思いやりの数々に、そして世界中からのメッセージに、日本は孤独ではない、こんなにもたくさんの人たちが支えてくれているのだと感じ、何度も涙を流しました。世界中でスローガンともなった”日本のために祈る“というその言葉は、日本で被災した人々、直接の被害はなくても、この災害に心を痛め被災地を支えるべく尽力する全ての人々、そして、家族への不安を抱えながらも、日本から遠く離れたところに住む私達のような海外在住日本人の大きな心の支えとなって、これからの復興をバックアップしていってくれることでしょう。
最後に、ペナンにあるマレーシア科学大学の博物館チーム(MGTF)からもらった温かいメッセージを。同博物館が過去に一緒に仕事をした日本人と日本人アーティスト達に向けて送られたものです。彼らは震災直後からFacebookのプロフィール写真も”MGTF WITH YOU JAPAN”という、心強いメッセージに変えてくれました。
「日はまたすぐに日本を照らしはじめ、新しい一日が心に安らぎと平和をもたらすでしょう。日本の兄弟姉妹たち、過去にあなた達がそうしたように、なんとかもちこたえてください。私達はあなた達のために最善を願うと共に、あなた達がまた必ずこの困難を乗り越えるであろうことを固く信じています。皆さんのために祈っています。」
2011年05月12日
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2011年4月-マレーシア最新芸術情報
サバイバーの強さ〝ABUSẼLife Sdn Bhd 6
2月22日〜27日まで、ブキッ・ビンタンのLot10にあるThe Actors Studio@Lot10において、”ABUSE~Life Sdn Bhd 6“というお芝居が上演されました。いえ、正確に言えばこれはお芝居ではなく、出演者が自らの、あるいはその友人の体験を語る、ノンフィクションに近い作品です。
Life Sdn Bhdは、2004年からスタートした作品で、マレーシアの今を、人々の”Life“を伝える作品です。過去に取り上げられたテーマには乳がんやエイズなども。実際の体験者や体験者を友人にもつ役者達が、Faridah Mericanの演出で、歌や踊りも交えながら、舞台の上でそれぞれの思いを語ります。
第6回となる今回のテーマは”Abuse“(虐待)。名のキャストが、父親、母親からの精神的・肉体的虐待、祖父から受けた性的虐待や、道端で連れ去られてレイプされてしまった話、虐待された犬の代わりとなって話す役者の語り、性転換者が受けた警察からのひどい虐待など、聞いているのが辛くなるような内容がほとんどです。でも聞いている私たちよりも本当に辛いのは、舞台に上がり大勢の前に立って語る出演者たち。そのなかには泣き出してしまう人もいます。
舞台上の彼らを観て、話を聞いている観客も、涙が止まりません。でも泣けてしまうのは、彼らのその悲しい出来事それ自体に対してよりも、そんな経験をした、あるいはしていた彼らが、その間、そしてその後、どれほど長い月日をかけて苦しみ続けたのか、今日この舞台に立つまでにどれだけの痛みや苦しみに悩まされたのかを想像して涙し、そしてまた、彼らが理解ある友人や新しい家族に助けられ、絶望からやっと立ち直れたことを知り、安堵の思いで涙するのです。ここまでくるには、想像を絶するようなさぞかし辛い日々があっただろう。それなのに、その絶望から這い上がり、今目の前に、力強く彼らは立っている・・・。
彼らはそれぞれに言います。”I’m a survivor. I’m Malaysian.“と。出演者の強さと勇敢さに、観客は皆、心励まされて劇場を後にしたのでした。
2011年04月05日
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