2012年2月-第16回

★「ほめたいのに、つい叱ってしまう」
そんなときは、子どもの見方を変えてみましょう
子どもをほめて育てることは大事です。ただ、そうはいっても「ほめたいのに、つい叱ってしまう」という親御さんの声も少なくありません。そこで今回は、子どもをほめるためのヒントをご紹介したいと思います。
私たちは子どもに、ついつい期待をします。「こうなってほしい」「これぐらいできてほしい」等々。子どもも、そんな親の期待にこたえようとがんばって、伸びていくわけですから、それも大切なことだと思います。しかし、その期待が、子どもの現状に比べて大きくなりすぎると、子どもも親も苦しくなります。期待どおりにはいかないことが多いし、裏切られることも多くなるからです。「どうしてこのくらいできないの!」「あんたは何をやってもダメね」ということになってしまいます。
子どもに対する否定の言葉が多くなり、子どもも自信を失っているなと感じたら、そのときは、思い切って要求水準を下げましょう。「できて当たり前」ではなく、「できなくて当たり前」と見ていくのです。そうすれば、たまにできたら、「あら、できたじゃないの」となり、イライラしなくて済みます。
もう一つ、私たちはよく、子どもをほかの子と比較してしまいます。親としては、ほかの子と同じように、あなたもいい子になってほしい、ということなのですが、子どもはそうは受け止めません。いい子が欲しいんだったら、あの子を子どもにしたらよかったじゃないか、自分じゃなくてもよかったじゃないか、と思ってしまう子もあります。結果、よけいにやる気を失わせることになりかねません。
子どもによって、成長には個人差があります。表面的なところだけで、比較はできないのではないでしょうか。もし、比較するとすれば、私は、以前のその子と比較するのがいいと思っています。「1年前はこうだった、半年前はこうだった」。そうすると、子どもなりの成長、がんばっているところが見えてくるはずです。それを伝えれば、子どももやる気を出して、さらに成長していくのではないでしょうか
。
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2012年02月10日
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2012年1月-第15回

★やらないときは放っておく
子どもをほめるときに、大切なポイントがあります。それは「やるとき、やらないときがあったら、やったとき、確実にほめる」ということです。
たとえば、お片づけなど、子どもは、やるときとやらないときがあります(ほとんどはやらないかもしれませんが)。つまり、行動に波があるのです。
われわれは、ついつい、やらないときに叱ります。「また、片づけもしないで!」
そして、やっているときは、当然なので、何も言いません。そうすると、行動に多少波があっても、本人は常に叱られていることになります。
それを逆にする。
つまり、やらないときには言わないで、やったときに(ほんのちょっとしたことでもいいです)、すかさず、ほめるのです。
「今日は、お茶わん、流しに持っていってくれてありがとう」
これは、よくない行動に対しても使えます。
いつも授業中、立ち歩いたり、私語がやまなかったりする子が、たまに椅子に座っていたり、黙っていたりする。そういう時に、私たちは、ついつい悪いことをしているときには見とがめて注意しますが、たまに座っているときには、心では「よしよし」と思っても、言葉に出してほめることはしません。当然のことをしているからだと思うからですが(そして、確かに当然のことですが)、しかし、その子にとっては当然のことではなく、画期的なことなのです。ですから、そういうときに、「今日はちゃんと座っているね。えらいね」とほめていくのです。ほめられると、またほめられたいと思って、同じ行動をしようと思うようになります。子どもには叱るよりほめたほうが、よい行動が身につきます
。
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2012年01月05日
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2011年12月-第14回

★できた1割をほめていけば、子どもはぐんぐん元気になります
子どもの自己肯定感を育むのに、「ほめる」ことは大切です。
そのポイントは、「いいことをしたらほめよう」「がんばったらほめよう」というのではなく、今の子どもの中にすでにある、いいところ、がんばっているところを見つけていく、ということです。
10のうち、子どもが1しかできなかったとき、私たちは、ついつい「何で、1しかできないの」「あとの9はどうしてできないの」と言ってしまいます。つまり、かける言葉のうち、1をほめる言葉は、まず出てきません。
しかし、考えてみてください。10のうち、できたのは、0ではないのです。1はできているのです。
ところが、たとえ2割できたとしても、「何で8割できないの?」、3割できたとしても、「何で7割できないの?」と、なぜか否定の言葉しか出てきません。
決して、まったくできていないわけではないのに、「自分なんか全然ダメだ」と、ヤル気をなくす子が多いのは、こういうとこ
ろに一つの理由があるのではないでしょうか。
たとえば、子どもがテストで60点を取ってきたとします。そのとき、まず目が行くのは、間違ったところ、バツになったところです。そこで、「ここはどうして間違えたの?」「こんなこともわからないようじゃ、ダメじゃないの」と言ってしまいます。結果として、子どもが聞くのは、ほとんどが注意、否定の言葉です。
しかし、60点は取れているのですから、4割は注意されたとしても、6割は、ちゃんとほめてもらってこそ、フェアな評価といえるのではないでしょうか。
さらにいえば、自信が持てていない子、自己肯定感の低い子の場合は、逆に、できない4割は問題にしないで、できた6割をしっかりほめていく。「ここちゃんとできたね」「ここもできるようになったんだね」とほめていく。そうすると、自分もやればできるんだ、とうれしくなって、意欲が生まれ、結果として、できなかった4割もできるようになっていくのです
。
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2011年12月05日
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2011年11月-第13回

能力への自信より、存在への自信
よく、「子どもに自信をつけさせるには?」とか、「うちの子は自信がなくて……」といいます。
確かに自信をもつことは大事です。しかし、この自信といっても、2段階ある、ということが意外と知られていません。
第1段階は、存在への自信です。つまり、自分はここにいていいんだ、ありのままで、存在価値があるんだ、自分は、いらない人間なんかじゃないんだ、という気持ち(自己肯定感)です。これは、何によってつくられるかというと、親や周囲の人が、自分の存在を喜んでくれることから、育まれる気持ちです。
第2段階は、能力への自信です。これは、勉強ができる、スポーツができる、お手伝いができる、などという、自分の能力への自信です。これは、周囲の人から、認められたり、ほめられたりすることによって、育まれます。
ふつう、自信というと、能力への自信のほうを問題にしがちです。しかし、人間が生きていくときに、本当に大切な自信は、存在への自信です。能力への自信は、努力によってつけることができる反面、いろいろな状況で失うこともあります。勉強で失敗
したり、スポーツで負けたりです。
ところがそこで、「なにくそ」と思って、また立ち直ってがんばることができるか、「どうせ自分なんて」とあきらめてしまうかは、存在への自信、自己肯定感によるのです。
自己肯定感の高い子は、一つのことで失敗しても、それだけで自分の存在価値がすべてなくなったとは思いません。別の機会には何とかなるかもしれないと思いますし、ここでダメでも、別の分野では何とかなるかもしれないと思っています。しかし、自己肯定感が低いと、一つダメだと、やっぱり自分は何をやってもダメなんだ、自分はやっぱり存在価値がないんだと思ってしまいます。
これは、しつけやルールを教えるときでも同じです。悪いことを悪いと注意したときに、自己肯定感の高い子は、「自分のために叱ってくれたんだ」と思うことができます。しかし、自己肯定感の低い子は、「やっぱり自分は、人を怒らせるだけの、ダメな人間なんだ」と思って、すてばちになり、注意がちゃんと入りません。
ですから、その子の勉強やスポーツなどの能力を育てるときにも、しつけやルールを教えるときにも、土台となるのが、自己肯定感、存在への自信なのです。
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2011年11月05日
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2011年10月-第12回

「共感」することで、子どもは輝く
最近の若い女性が求める、理想の男性像は、「自分のことを受け止めてくれる人」だそうです。自分の気持ちをわかってくれる人、自分のいいところも悪いところも全部受け入れて、愛してくれる人、ということだと思いますが、こういったことを求めるのは、実は、若い女性だけではなく、どんな人も同じではないかと思います。そして、この「自分の気持ちをわかってもらえる(認めてもらえる)」「自分のいいところも悪いところも、全部受け入れて愛してくれる」というのが、まさに自己肯定感だといえば、繰り返しお話ししている自己肯定感が、子どもの幸せにとってもいかに重要か、わかっていただけるのではないでしょうか。
自分の気持ちをわかってもらえる、というのは、いわゆる「共感」です。悲しいときには、一緒に悲しんでくれる。うれしいときには、一緒に喜ぶ。そういうときに、子どもは、自分の気持ちをわかってもらえた、と思います。そして、愛されている、と幸せを感じます。
「共感」は、自己肯定感が育まれるために、最も有効な関わりの一つです。子どもが失敗をして落ち込んでいるとき、「そんなことで落ち込むな!」と叱咤されることも、時には必要かもしれません。しかし、それよりも「つらかったね」「ショックだったね」と、ただ、つらい気持ちをわかってもらえるだけで、気持ちがいやされ、立ち直れることのほうが多いのです。
がんばってうまくいったとき、「やったね!」「すごいじゃない!」と、親が一緒に喜んでくれることで、さらに喜びが大きくなり、よーし、もっとがんばろう、という意欲もわいてくると思います。喜びも悲しみもともにするなかで、子どもは、自分が大切にされていると感じ、そこから、前向きに生きていこうという意欲も出てくるのではないかと思います。
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2011年10月05日
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2011年9月-第11回

子どもの心は、甘えと反抗を繰り返して大きくなる
以前、「甘えた人が、自立する」と書きましたが、子どもの心はどのように育っていくのでしょう。
よく第一反抗期(1歳半から3歳)、第二反抗期(思春期)などというと、反抗期は2回しかないのかと思いますが、実際は、甘えと反抗を無数に繰り返しながら成長していきます。「甘え」とは「依存」のこと、「反抗」とは「自立」のことです。この2つを行ったり来たりしながら、子どもの心は大きくなっていくのです。
まず、赤ちゃんのとき、子は親に完全に依存した状態で生まれます。そこで子どもがもらうのは、安心感です。
じゅうぶん甘えて、安心感をもらった子どもには、やがて、もう1つ、別の心が出てきます。それは不自由です。この依存の世界は、安心ではあるけれども、同時に、いろいろ縛られている、不自由な世界なのです。そうすると、子どもは「自由になりたい」「自分でやりたい」と思います。これが意欲です。そこで自立に向かいます。
自立した世界は、自由な世界です。そこで、しばらく子どもは自由を満喫します。ところが、自立した子どもの心には、やがてもう1つの気持ちが生まれてきます。それは、不安です。だ れも頼る人がない、何でも自分でしないといけない。自立した世界は、自由ではあるけれど、不安な世界なのです。そこで、あまり不安が強くなると、子どもは安心を求めて、「お母さ〜ん」と、依存の状態に戻ってくる、この繰り返しなのです。そうしながら、次第に自信をつけ、本当の自立に向かっていくのです。
ここで大切なことは、この依存と自立の行ったり来たりが、あくまで子どものペースでなければならない、ということです。
子どもが「お母さ〜ん」と頼ってきたら、「よしよし」と助けてやる。「自分でやる!」と言ったら、「じゃあ、やってごらん」とやらせてみる。
ところが私たちは、ついつい忙しいので、子どものペースでなく、大人の都合になっています。子どもが「お母さーん」と来たら「お母さん忙しいんだから、自分でやりなさい!」と突き放してしまいます。自分でやらせると時間がかかって困る、すると「ちょっとお母さんに貸しなさい! まだ子どもなんだからできるはずないでしょ!」と手を出してしまいます。やむをえない部分もあるのですが、本来は、子どものペースで行ったり来たりが大事だということです。
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2011年09月05日
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2011年8月-第10回

-『ありがとう』は最高のほめ言葉-
子どもの自己肯定感を育むのがいちばん大事だという話をしてきましたが、そのために、いちばん簡単で有効な言葉は、「ありがとう」という言葉です。「ありがとう」という言葉は、お礼の言葉であると同時に、相手の存在価値を高める言葉です。われわれが、人から「ありがとう」と言われてどうしてうれしいのかというと、お礼を言ってくれたからうれしいというよりも「自分が人の役に立った」「自分がやったことに意味があった」と思えるからうれしいのです。特に、自己肯定感の低い子ども、「どうせおれなんか」と言うような子どもに、何かいいところを見つけて、「これ、君のおかげで助かったよ。ありがとうね」と言うとすごくうれしそうな顔をします。なぜかというと「どうせおれなんか、おらんほうがいい」と思い込んでいる。そういう自分に「ありがとう」と言ってもらえたということは、自分みたいな人間でもちょっとは人の役に立っているのかな、自分みたいな人間でも生きていてもいいかなと思えるのです。ですから、「ありがとう」という言葉は、相手の存在価値を高める言葉であり、最高のほめ言葉なのです。
ある学校で、子どもたちにアンケートを取りました。大人からどういう言葉をかけてもらうとうれしいか。いろいろなほめ言葉があります。「頭がいいね」とか「かっこいいね」とか。ところがそのなかでトップに挙げられたのが、「ありがとう」という言葉でした。それほど、子どもたちは大人から「ありがとう」という言葉をかけられるとうれしいし、もっと言ってほしいのです。しかし意外と大人から子どもには「ありがとう」と言っていません。でも、子どもには求めますよね。「ありがとうは?」と。でも大人からも、ちょっとしたことでいいのです。左の物を右にやった、そういうことでも「ありがとうね。助かったよ」って言っていく。そういうことで、自己肯定感が育っていくのです。
「自分も人の役に立てるんだ」「自分も必要とされることがあるんだ」「自分も生きていていいんだ」、こう思える、自己肯定感こそが、生きる力そのものです。生きる力を育てる教育、それは、イコール自己肯定感を育む教育です。こういう土台があって、初めて勉強をがんばろうと思えたり、世の中のルールをきちんと守ろうと思ったりする、原動力となっていくということです。
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2011年08月05日
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2011年7月-第9回

-中学生の子。自分の気持ちや考えを話してくれない。どうすれば話してくれるのでしょう。-
<質問>明橋先生、こんにちは。中学生について相談です。第6回の「叱っていい子といけない子がいる」のなかの意地っ張りで頑固なタイプに当てはまります。「まず事情を聞く」とありますが、事情や気持ちを話してくれません。何を考えているのかわからないです。なので、一方的に話をして終わり・・・、わかってくれたのかどうなのか? という感じになります。どうすれば、自分の気持ちや考えを話してくれるのでしょうか?
<回答>親御さんとしては、何を考えているか分からない、心配だ、というお気持ちはよく分かります。しかし結論から言うと、中学生はふつう、親に自分の気持ちを話しません。ですからお子さんの今の状態は、ふつうの発達段階であって、それほど心配する必要はないのではないかと思います。
中学生くらいになると、子どもは少しずつ精神的に自立をはじめます。これを反抗期とも言います。自分は親とは独立した別個の人格であり、親の言いなりにはならない。自分は自分の考えがあり、自分のことは自分で決めていく、という気持ちをもち始めるのです。ですから親が聞こうとしても、自分にとって必要なことしか答えません。一方でこの時期は、親より友だちの方が大切になってきますから、親には話をしなくても、友だちには何でも話しています。そういう時期なのです。
お子さんが話をしないのは、ちゃんと精神的自立に向かっているからで、子どもの成長の証です。それは親御さんがここまでちゃんと育ててきたからなので、今までの子育てが基本的に間違っていなかった証拠です。ですから話をしなくても、あまり根堀り葉堀りしつこく聞かない。一声かけて返答がなければそのままほっておく。本当に困ったことがあれば、必ず子どもの方から話をしてきます。それは年に一回か二回かもしれません。でもその時はしっかり話を聞く、ということです。
その場合大切なことは、話の最中で「でも…」「だってあんたも…」とか、反論したり、口を挟まないこと。そうすると子どもは否定されたととって、感情的になり、ケンカになってしまいます。そうなると本当に話をしたいことが話せなくなります。話を聞く時は、こちらの意見はさておき、まずひと通りしっかり話を聞く。その上で、「私はこう思う」ということは伝えていいのではないかと思います。
話をしないのは、話をしてもどうせ否定されるだけ、と思っているからかもしれません。そういう時は、肯定的な言葉かけを増やしていく。「あなたなりにがんばったじゃないの」「それはつらかったね」とだけ伝えていく。そうすると自分は認められた、分かってくれたと思って、話しやすくなるかもしれません。
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2011年08月04日
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2011年6月-第8回

-「お母さんが働くことは、子どもにとって、プラス? マイナス?」-
子どもを預けて、仕事に出ようかどうしようか、というお母さんの悩みをよく聞きます。
経済的な事情で働かざるをえない人、子どもが小さい間はしっかり家で見たい、という人、いろいろあるでしょうが、いずれにせよ多くのお母さんにとって心配なことのようです。
昔は3歳児神話といい、「3歳までは母親は子どものそばにいて育児に専念すべき」という考え方がありました。しかし平成10年の厚生白書では「3歳児神話には少なくとも合理的な根拠がない」と断定し、話題を呼びました。確かに、子どもの脳がめざましく発達する3歳までの時期に、愛情に包まれ安心できる環境で育てられることはとても大切なことですが、だからといって、母親が24時間子どものそばにつかねばならないかどうかは別です。

アメリカで1988年に発表された、1歳〜7歳の追跡調査では、母親が働いているかどうかで子どもの心身の発達、社会性や行動上の問題、学業成績などいっさい差が見られませんでした。また、日本の1980年生まれと2003年生まれの子どもを対象に実施された大規模な子育て調査(大阪レポート、兵庫レポート)でも、双方、母親の就労は子どもの心身発達に影響しない、という結果が出ています。ただこれには少し補足があって、母親と子どもと接する時間が多いか少ないかで統計を取ると、接する時間が多いほうが子どもの発達はいいのです。すると母親が仕事に出れば当然、接する時間は短くなるから、子どもの発達には悪いはず。ところが母親が仕事しているかどうかで統計を取ると、差が出ないのです。これはなぜかというと、おそらく、母親が仕事に出るプラスの面(母親が自分に自信を持てる、気分転換ができる、時間は短くても濃い関わりができるなど)によって相殺され、その結果、差が出ないのだろう、といわれています。
ですから、結論は、外野席の声には惑わされず、自分の気持ちで決めていいのです。自分は2つのことを同時にするのは苦手だから、子どもが小さいうちは育児に専念しよう、経済的には苦しいけれど、そのほうが自分もゆったり育児ができる、と思う人は育児に専念すればいいし、自分は専業主婦だとよけいストレスがたまる、仕事を持って子どもから離れる時間を持ったほうが子どもに優しくなれる、という人は仕事をすればよい、ということです。
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2011年06月05日
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2011年5月-第7回

-「今からでもできるお父さんの子育て」-
最近、お父さんの子育てがよく話題に上るようになってきました。「イクメン(育メン)」という言葉に代表されるように、父親が子育てに関わることが、少しずつ当たり前の世の中になってきたことは、とても喜ばしいことだと思います。企業も、優秀な人材を確保するためには、父親の子育てを応援することが大切、という認識を持ちつつありますし、育児休業を取る父親も、まだ欧米に比べて少ないとはいえ、少しずつ増えてきています。
父親が子育てに関わるのと関わらないのとで、子どもの心の成長と、夫婦関係はどう変わるか、を調べた調査があります。その結果、父親が子育てに関わると、子どもの自己肯定感(自分が大切な存在だと思える気持ち。子どもの心の成長の一番土台になる)が、父親が関わっていない場合よりも、よく育ち、また夫婦の関係もよくなる、という結果が出ています。考えてみれば当たり前のことですが、父親が子育てをすると、子どもはより健やかに育ち、夫婦の愛も深まる、ということです。
ただそうはいっても、現実にはなかなか父親も子育てに関わろうにも、仕事が忙しくて関われないという場合も少なくありません。子どもがまだ寝ているときに出勤し、帰るのは、子どもが寝てから、土日も仕事、というお父さんもあるでしょう。ではそういう場合は、父親は子育てに関わることができないかというとそうではありません。

父親の子育てのもう一つの、とても大切な役割は、母親を支える、ということです。父親の育児が進んできたとはいっても、現実には、まだまだ育児の現場を支えているのはお母さんです。そのお母さんの労をねぎらい、「いつもがんばって子育てしてくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝えていく。それだけで、母親は一日の疲れがいやされ、また明日も子育てがんばろう、と思えるのです。もちろんこれは逆も同じで、父親も、母親から、「一日、家族のために仕事がんばってくれてありがとう」と言われると、また明日もがんばろうと思えます。お互いに、相手の苦労を知り、ねぎらい合う、感謝の言葉を伝えていく、そういう家庭から、思いやりのある子どもが育っていくのだと思います。
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2011年05月06日
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