2016年10月-この人のセニョ〜ム 樹木 希林 さん

 

見栄はないけど、誇りはある。自分と他人を
比べず、物事に執着しなければ、生きるのが楽!

86interview-img_90501943年生まれ、73歳。国際交流基金主催の第13回日本映画祭で、出演した『海よりもまだ深く』がオープニング作品として上映されるにあたり30年ぶりに来馬。同映画祭では、樹木さんが出演した河瀬直美監督の『あん』も上映された。写真は、「マレーシアは寒い! GOLD Classじゃなくて、Cold Classよ」と笑う樹木さん。

 

「がんになってから特に執着がなくなったの。自分に対して恥ずかしくなければ、見栄を張ることもないし、抱えているものがないから最近とても生きやすい。まっすぐ立っている時間がないほど忙しい時期もあったから、今のよさがわかるのね。何も否定しないのよ。マイナスだと思うと本当にマイナスになるから。『歳をとっていろんなことができなくなった、ああ、つらい』と思うのではなく、『これができなくなったわね、面白い』と思うの。そうなると、何があっても、ま、どうってことないか、と思えるのよ」。
9月8日から開催された13回目を迎える日本映画祭のために来馬した樹木希林さん。オープニング上映された是枝裕和監督の『海よりもまだ深く』では、できの悪い息子(阿部寛)に文句を言いつつもかわいがる年老いた母親を好演。劇中、「幸せってのはね、何かを諦めないと手にできないもんなのよ」と樹木さんが息子に対してつぶやいた台詞が胸に刺さった方も多いと思うが、樹木さんが言うからこそ言葉がパワーをもつのかもしれない。
樹木さんは2013年に「全身がん」を患っていることを公表したが、その後もいくつもの映画に精力的に出演している。
「全身にがんがある割に元気ねえ、といわれるけど、『全身がん』は病名なの。あと、私は元気ではないの。一人のときはクタ~ンとしているんだから」と、ユーモアを交えつつ、元気の秘訣を披露してくれた。「歳をとったらたくさんしゃべって息を吐くのが大切。よくしゃべる人は長生きね。黒柳(徹子)さんを見ればわかるでしょう。文句でもいいのよ。でも、愚痴はダメ。愚痴は友達なくすわね。他人の顔色を見る必要はないけど、必要とされるときはワッと出て、そうじゃないときは佇まいを消す。自由自在な『居方』ができるといいわね。私は脇役から入ったから、それが割と身についている」。
高齢化する団地を舞台に、日常生活の一部を切り取った『海よりもまだ深く』では、主人公たちのその後は明示されず、観客の想像に任されている。「一寸法師だって、結婚相手のお姫様がわがままで苦労したと思うのよ。この映画と同じで、人生にハッピーエンドなんてない。生きてきたように死ぬのよ」。樹木さんの言葉は、その存在感と同じくらい、どこか突き抜けていてカッコいい!

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