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2021年12月-この人のセニョ〜ム マヘン バラ さん
- 2021/11/29
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1986年キャメロンハイランド生まれ。A型。幼少期から高校卒業までクアンタンで育ち、KLへ移住。ウェディングフォトグラファーとして生計を立てながら、歴史的建造物や街並みを写真や記事に残す活動を始める。マレー鉄道のグマス~JB間の複線電化計画を機に、約3年かけて取材した著書『Postcards from the South』を18年に出版。19~20年、国際交流基金アジア・フェローシッププログラムで日本と東南アジアの鉄道文化を調査・報告。ドキュメンタリアン&ビジュアルアーティスト。
「鉄道好きな写真家」と聞けば、鉄道を主体に写真や動画を撮る愛好家を想像するが、マヘンさんの視点は少し違う。鉄道が通らないクアンタンで育った彼にとって鉄道とは生活圏外のもの。しかし一度も訪れたことのない鉄道町、ジョホール州グマス駅の昔の様子を知り尽くしている。グマスの鉄道職員だった父親へ弁当を届ける度に、列車の発着や人々の動き、活気ある駅周辺の町の様子を目にしていたマヘンさんのお母さんが、望郷の念を抱きながら昔話を話してくれたからだ。
独学で写真術を学び、時とともに変わりゆくクアンタンの街並み、壊される古い建物、山々や海岸の自然風景を後世に残さねばと撮り続けた。高校卒業、父の他界を機に、KLへ移り、生計を立てるためウェディングフォトグラファーとなる傍ら、KLでも街の変化を写真に収め、人々から話を聞きだしては記事や動画に残すドキュメンタリアンへと転身した。
11年、マレー鉄道ウェスト・コースト線の終着駅、シンガポールにあるタンジョン・パガー駅の移転が決まった。同時期にグマス~JB間の複線電化が発表され、その路線に特化した各駅と住人への聞き取り調査を始動した。取材対象者でもあるお母さんも同行し、彼女は40年以上ぶりに帰郷した。
多くの人を取材し、当時の写真や資料を收めた『Postcards from the South』は、ヒューマンドキュメンタリーであり、写真集だ。話し手の母語(マレー・中国語)+英語で書かれていることに、語り手への敬いとマレーシア愛を強く感じる。
取材協力・同行したマヘンさんの奥さんは、中国茶サロン「Tanah dan Air」を営む茶家。ある日二人はJFKL開催のお茶会に参加した。「アジアの絆を強くする”あなたの事業“
を募集中!」という、国際交流基金アジア・フェローシッププログラムの公募を知り、「日本と東南アジアの鉄道文化調査」を提案・応募した。採用が決まると、19年12月から1カ月間をインドネシア、20年2月から2ヵ月間を日本、両国の鉄道文化と人々の関わりを調査する旅に出た。日本では長距離の移動に「青春18きっぷ」を利用。地方都市に滞在し、ローカル線とそこに暮らす人々の関わりを取材した。また、各地の鉄道博物館を訪問しその存在意義を再認識した。
マレーシアには鉄道博物館がない。集められた情報を発信する場として鉄道博物館の存在は欠かせないとし、マレーシア初の鉄道博物館開設の実現を目指す。同時に各地で人々が抱く「思い出」を文章、写真、映像に刻み続けている。
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