ぶどう酒百味旅 ~最初のひとくち 想いの滴~ 第15回

〜最初のひとくち 想いの滴〜


塩見 正道  プロフィール
​元パプアニューギニア日本国大使館の公邸料理人。日本ソムリエ協会認定のソムリエでもある。現在、アラダマンサラ地区にて、葡萄酒百味処紫音を営む。「シェフ+ソムリエ×マレーシア」な日々を過ごす。

【家飲みと赤ワイン選び】
(画像左から)カベルネ・ソーヴィニョン、ピノノワール、シラーズ、メルロー


(KL某コンド夕刻時のこと)…おっ、妻が夕食の支度を始めたな。よし、その間にこっちはワインでも買いに行こう。
(ワインショップに到着)さてたくさんあるな、どれにしようか? そういえば、昼の買い物で牛肉を買っていたな。ならカベルネ・ソーヴィニョンだ。なんたって「肉料理には赤」って言うし、「赤ワイン品種の王様」なんて呼ばれているからな。ほどほどの渋みが肉の脂っこさをさっぱり流してくれる。ちょっとひんやりするぐらい冷やせばもっといい。今夜はこれで決まりだな。
いやちょっと待てよ。そういやチキンも買ってたな。健康重視な妻のこと。塩コショウでさっぱり焼いてサラダなんかにするんじゃないか? そうなるとピノノワールか。あの木苺の香りがまたいいんだ。「チキンとか豚肉なんかの白い肉にはピノの酸味が合う」なんてテレビで誰かが言ってたな。結構冷やして飲んでもいいらしい。今夜はこれで決まりだな。
いやいやちょっと待てよ。この間の接待ディナーで、部長がやたらと「シラーズは最高だ!」なんて延々と語ってたな。とにかく濃厚で果実味があって旨いって。
「この凝縮感がたまらない」って飲むたびに言うし。えーっと、あの日のワインは確かオーストラリア産。そこが有名な産地なんだっけ。よし、今夜はこれで決まりだな。
まてまて、ちょっと待てよ。休みの日まで部長のこと思い出す必要はないだろう。とはいっても濃厚な果実味ってのには、後ろ髪を引かれる。ならマルベックはどうだろうか。アルゼンチンを代表するブドウ品種だしな。なんたってチリも含め南米のワインはコスパがいい。同じ値段でよりレベルの高いものが買える。よし、今夜はこれで決まりだな。
(突然妻からの電話)「今夜は私も少し飲みたいから、飲みやすい赤ワイン選んできてくれる?」。そういうことなら、ちょっと待てよ。飲みやすいというなら、渋みと酸味が少ない方がいいな。果実味はあった方がいいけど、濃厚すぎるってのもなあ。よし、それならメルローがいいんじゃないか。赤ワインの中でも、とにかく優しいイメージがある。それとあの心地いい舌ざわりが印象に残っている。今夜の献立にはないだろうが、確かハンバーグにも合うんだよな。まあ週刊誌で読んだ受け売りだけど。よし、今夜はこれで決まりだな。
(家に帰る)ただいま。メルロー品種のワインを買ってきたよ。おっ、今夜は牛肉のステーキとチキンのサラダ、それにトマトソースのスパゲッティ。ワインとの相性ばっちりだな。色々あった2020年だけど、来年はいい年になりますように。乾杯!

塩見 正道  プロフィール

元パプアニューギニア日本国大使館の公邸料理人。日本ソムリエ協会認定のソムリエでもある。現在、アラダマンサラ地区にて、葡萄酒百味処紫音を営む。「シェフ+ソムリエ×マレーシア」な日々を過ごす。

B-1-16, Block B, Jalan PJU 1A/20A, Dataran Ara Damansara, 47301 PJ
Tel: 03-7840 0632

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