COVID-19に対するワクチンに期待が集まっています。通常、ワクチンの開発には3段階の臨床試験を経る必要があり、承認されるまでに5~10年の臨床安全性と有効性の研究が必要です。COVID-19ワクチンは緊急承認されていて、数あるなかでも、第3臨床試験に到達したワクチンはごくわずかかと言われています。今回はワクチンの型から代表的な4種を簡単に説明しましょう。
❶ウイルスワクチン
ウイルスを弱毒化、または不活化して接種。接種後、私たちの体はウイルスを検出し、このウイルスに対する抗体を構築する。破壊されたウイルスを使用するためウィルスが増殖することはない。しかし、免疫反応を引き起こす可能性があるため、免疫系が弱い方には推奨できない。
❷ウイルスベクターワクチン
病原性のないウイルスの中にコロナウイルスの遺伝子を入れて接種。ウイルスは体内の細胞に感染し、中にあるコロナウイルスの遺伝子からコロナウイルスのタンパク質をつくるので、私たちの体はこれに対して抗体をもつ。
❸核酸ワクチン
ウイルスの遺伝物質(DNAまたはRNA)を注入して、細胞にウィルス抗原タンパク質を生成させる。新しいテクノロジーであるため、規制当局の承認が必要となる。
❹組換えタンパク質ワクチン
ウイルスの構造の一部(タンパク質)を培養細胞や酵母を使って生産し、そのタンパク質を注入する。弱毒化・不活化ワクチンと比べて、ウイルスそのものを投与しないため、副反応が起こりにくい。
(次号に続く)