オットット爺やのつぶやき スノーデンもくしゃみの河野発言

オットット爺やのつぶやき

スノーデンもくしゃみの河野発言

「日本も( ファイブ・アイズに)近づいて『シックス・アイズ』と言われるようになってもいい」―。こう言うのは河野太郎防衛相。日本経済新聞(8月14日付)とのインタビューで、日本が 米国中心のスパイ協力組織「ファイブ・アイズ」(米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)と組み、中国に対抗する姿勢を鮮明にしたのだ。

「ファイブ・アイズ」との連携といっても分かりにくいと思う。要は日本が米陣営に入って「通話、SMS、メール」を秘密裏に収集し、中国や北朝鮮情報を他の5ヵ国に提供することを意味する。中国と「敵対」することは明らかだが、中国と全面対決すれば、日本は袋小路に入り、衰退の道を速めるだけである。

 河野はほかにも見過ごせない発言をしている。彼は「(中国は)ポストコロナの世界を分断しようとしている」と断じ、「民主主義対独裁、自由なネットワークと、国家が管理するネットワークのような形で国際秩序を分断する試みに多くの国が懸念を持つ」と分析してみせた。

 「ポスト安倍」を担う有力リーダーとしては、かなり乱暴な発言。世界を「民主主義対独裁」の二元論でとらえる思考。 そして「ファイブ・アイズ」が進めてきたスパイ情報協力を「自由なネットワーク」と呼ぶに至っては「事実誤認」もいいところだ。

 トランプ政権が、同盟国に対し中国通信大手ファーウェイ排除の「踏み絵」を踏ませ、世界を二分しようとしているのは明らか。

 最近では、短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」排除を同盟国に求めている。「ポストコロナの世界を分断しようとしている」のは中国ではなく、トランプ政権である。

「スノーデン独白 消せない記憶」
(2019年河出書房新社)の表紙

 もう一つ。西側情報網を「自由なネットワーク」と呼ぶのを聞いたら、くしゃみをこらえている人物がいるはずだ。元米国家安全保障局(NSA)局員のエドワード・スノーデン氏(ロシアに亡命中)である。

 彼は2013年6月、「米政府は中国を含め世界中のあらゆる通話、SMS、メールを秘密裏に収集している」と告発。米政府は日本政府に監視システムを譲渡したとも暴露した。

 ハッキングと言えば、中国、ロシアの「お家芸」に見られがちだが、米情報機関のハッキングや、同盟国リーダーへの盗聴はよく知られている。その中にはメルケル・ドイツ首相や日本の閣僚も含まれる。

 河野が言うように日本が「シックス・アイズ」の一員に迎えられるとすれば、確かな情報収集能力に基づいて、中国・北朝鮮に関して価値ある情報をメンバー国に提供できるかどうかが問われる。

 ギブアンドテイクの世界、本格的なスパイ国家への道が開かれる。 (了)

オットット爺や

オットット爺や  プロフィール
1948年生まれ。通信社特派員として香港、モスクワ、台北などで報道。退職後は客員論説委員として国際政治を論じる一方、都内某大学で客員教授を務める。

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