2010年8月-画一に挑戦

 「画一」は嫌いだ。居酒屋を探すときも、全国チェーン店はできるだけ避けることにしている。ただ比較的安いし、全国どこでもそれなりの味とサービスを提供するから、探すのが面倒な時はやむを得ない。嫌いな理由は「画一」。北海道から沖縄まで、どこでもいつでも同じメニュー、同じ味というのが気にいらん。香港やシンガポールにも出店しているから、結構楽しんでいる読者もいるのではないか。

 仕事で京都に行った。2年ぶりだ。祇園祭には少し早いが、二条城や清水寺など観光地は、外国観光客や修学旅行生で賑わっている。今にも夕立が来そうな雲行き。鴨川の川床では、ゆったりとビールのジョッキを空けているグループがいる。手にした団扇が涼しげだ。こちらも思わずジョッキを頼みたくなる。無機質で画一化が進む東京の街ではお目にかかれない風景。

 街を歩けば、東京との差がおぼろげながら見えてくる。まず、古い街並みを保存しながら、料理屋やブティックにうまく改装している。料理の味は言うまでもなかろう。上方の食文化と味がちゃんと引き継がれている。人の行動様式も違う。電車やバスの中で「ケータイ」やゲーム機とにらめっこする人は少ない。人と人の関係が濃密で保守的なせいかもしれない。ただ細い路地を走る車や自転車のスピードは速い。通行人を避けるのではなく、人が車を避けねばならない。

 四条から五条の繁華街で、目を引くポスターをあちこちで見かけた。ポスターから屈強そうな男が、こちらを睨みつけている。屈強というより「凶悪」に近い。まるで地回りの極道のようだ。よく見れば、上部には「わが街を守る」の大きな標語。下には赤い字で「五条警察署」とある。この辺りを管轄にする五条署が作成した2010年度のオリジナルカレンダーだ。モデルは全員が同署の警察官。04年から毎年デザインを変え、管内の全所帯に行き渡るよう2万枚以上を印刷し配っている。

 モデルのうち「さわやか系」は、右端の剣道着姿の女性警官ぐらいか。警察官や自衛官募集のポスターなら、「さわやか系」か「イケメン」をモデルにしないと応募にも影響しかねない。このポスターの狙いは違う。住宅や店舗の玄関や屛に張り、悪質な訪問販売や暴力団を撃退する効果を狙う。だからイケメンやさわやかちゃんじゃ困るのだ。「お守り代わりに」と警察はいうが、幕末の京都歓楽街で、取り締まりのため闊歩した「見廻組」みたいだ。「画一」とは程遠いところがすっかり気に入った。 (了) 

オットット爺や

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