2013年3月-イジメ? 覚えてねえよ!

体罰にパワハラ。日本のメディア、とくにTVが一生懸命追い掛けているのがこのニュースだ。体罰は、大阪市立高校のバスケ部生徒が体罰を受けた翌日、自殺した事件。大阪市長が「一線を越えた完全な暴力行為」と体罰顧問を非難してから、毎日TVでヒョーロンカ達が是非を論じている。もう一つはパワハラ。五輪の柔道代表を含む女子選手15人が、合宿などで監督らから暴力行為やパワーハラスメントを受けたとして、日本オリンピック委員会に告発。監督は辞任に追い込まれた。

体罰もパワハラも、抵抗できない弱者に対し強者が行う暴力である。暴力を受けた者を死に至らしめるほどの、精神的ダメージを与えることがある。「愛のムチ」などと擁護する人もいるが、立派な犯罪でありいかなる意味でも正当化してはならない。皆関心をもつのは、だれもが体罰とパワハラの被害経験と加害経験を持っているからである。「ん? 私は加害者になったことないよ」と反論するあなた! 靴を踏まれたこと(被害経験)は一生忘れないけど、踏んだこと(加害経験)はすぐ忘れるからね。

この問題への主たる関心は、自分と自分の家族が「被害者になるかもしれない。それは困る」という「被害者意識」にある。決して自分が加害者になることは想定しない。だけどイジメの加害者はこの世にごまんといるはずだ。被害者は一人の場合が多いが、加害者は複数だからである。

[AC CM] 公共広告機構「 知らんぷりよりちょっと勇気」から

 中学に進学したばかりのころ。方程式の答えを間違うと、出席簿の角で思い切り頭を打ち付ける数学教師がいた。この体罰教師が教室に入っただけで教室は静まり返り、身を固くして体罰の恐怖におびえた。卒業して30年ほどたった同窓会で、この教師に「先生のおかげで数学が嫌いになりました」と打ち明けると「ん? オレそんなことした覚えはないぞ」と、すっかり柔和になった表情で答えた。これだよ! 本当に覚えていないようだった。

一方の加害経験。思い出しただけで2,3件はある。小学校3年のころ、いつも薄汚れた身なりの転校生がクラスにいた。誰かがそれをからかい「こいつクセーッ!」と鼻をつまむ仕草をした。どっと笑いに包まれるクラス。下校途中、悪ガキ共とこの転校生の後をつけ、家の様子を探ることになった。それに気付いた転校生、ランドセルを左右に振りながら逃げ始めた。後を追いかけ、彼目がけて投げた小石が、公園の木に当たって、カーンと跳ね返った記憶がある。これ映画のシーンじゃないよ。転校生の名前はもう思い出せない。しかし彼はこちらの名前を記憶し、この体験をずっと引きずったかもしれない。いや次はイジメる側に立ったかも。(了)

オットット爺や

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