2017年1月-グローバル化は止まらない

グローバル化は止まらない

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やはり世界は彼に振り回されている。近く米大統領に就任するドナルド・トランプのことである。彼は、国交のない台湾の蔡英文総統と電話会談し世界をアッと言わせた。続いて米TVのインタビューでは「貿易などで合意できなければ、なぜ『一つの中国』に縛られる必要があるのか」と述べ、「一中政策」を対中取引カードに使う可能性をほのめかした。
中国の「核心利益」中の核心である台湾カードを使い、北京の反応をうかがいつつ、対中外交を有利に展開しようとの思惑はミエミエ。不動産王らしく、最初からえらい高値をふっかけたもんだ。でも大統領就任前の「一私人」であり、外交上の責任は問われない。「際どいエッジボールを打った」(環球時報)というのは、的を射ている。
もう一つのビックリは、ソフトバンクグループの孫正義社長との会談だった。ニューヨークのトランプ・タワーでの会談後、ロビーに現れたトランプは、孫を子供のように抱きかかえながら「マサ(孫社長)は米国のビジネスに500億ドル(約5兆7千億円)を投資し、5万人の新規雇用をつくることで合意した」と、喜色満面で発表した。「米国に雇用を戻す」が公約だったから、まさに「渡りに船」ではないか。
興味深いのは、孫がカメラに映るように見せた白地の説明書類。そこには「Softbank」の横に「Foxconn」のロゴが。この会社、シャープを買収した台湾の鴻海精密工業(郭台銘会長)である。Apple最大のサプライヤーで、中国広東省深圳でiPhoneを組み立てる。書面の配列からすると「ソフトバンクが500億ドル、Foxconnが70億ドルを投資、両社がそれぞれ5万人の雇用を創出すると読める」(ロイター)。

鴻海は台湾企業だが、IT関連でいち早く中国に製造拠点を移転し、大連や成都に20万人規模もの大工場を建設。大陸では子会社を含め2000万人の雇用を生みだした。郭と孫の親しい関係は以前から知られ、再生エネルギー分野でジョイントベンチャーを手掛ける。中国にも厚い人脈をもつ郭は、習近平国家主席の「中国の夢」を「中華民族の子孫として血が沸き立つ」と評価したことがある。
トランプは選挙中、グローバリズムを批判し、保護主義的な経済政策を主唱した。新自由主義に基づくグローバリズムが、経済格差と社会の亀裂を広げ、それがトランプ現象を含め世界でナショナリズムを刺激した。グローバリズムはイデオロギーだ。しかしヒト、モノ、カネが国境を越えて移動するグローバリゼーション(グローバル化)は似ているが、別物である。トランプに孫と郭による新たな取引は、米国、日本、台湾、中国という環太平洋プレーヤーによるグローバル化が止まらないことを物語っている。       (了)

オットット爺や

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