2020年4月-ヒタヒタと近づくその「足音」


「ひな祭り」の3月3日朝、「トイペ」を求め長い行列を作る「善男善女」の群れ

 

みるみるうちに列の長さは200メートルほどにもなった。3月3日の「ひな祭り」の朝9時。東京近郊の住宅街にあるホームセンター前で、開店を待つ人の行列である。聞けば、トイレットペーパーを買うためという。新型コロナウイルスの感染拡大が日本でも止まらず、「“トイペ”がなくなる」というデマがSNSで拡散してから5日は経っていたころだ。「デマに惑わされるな」とメディアは警鐘を鳴らしているのに行列は消えない。日本だけじゃない。世界中で同じ光景が繰り返された。でも、後から考えれば「かわいい」と思えるほど、深刻な事態が次から次へと世界を覆った。感染はイタリア、イラン、米国に一気に広がり、世界保健機関(WHO)は11日、感染が世界規模で拡大するのを意味する「パンデミック」宣言をした。
これを受けトランプ米大統領は、欧州各国からの入国停止を発表、世界で株価が大暴落した。米ダウ平均株価は、下落率(9.99%)が、08年のリーマン・ショック(7.87%)を上回り、世界で経済収縮の懸念が一気に高まった。トランプはついでに、東京五輪について「観客なしの開催は想像できない。1年間延期すべき」と発言。政権の命運を東京五輪の成功にかけていた安倍首相は、その直後トランプとの電話会談し火消しに努めたが、延期・中止の流れは、もはや変えられないだろう。マジで言うけど、オリンピックどころじゃないんだよ。いまや、耳を澄まさなくても「コロナ大恐慌」の足音がヒタヒタと迫っている。インバウンドに依存する観光・旅行業界では、既に就職内定取り消しが始まり、被害が深刻な北海道で、旅館や飲食店が倒産した。消費は急減し、雇い切りやリストラが進み、失業者が溢れるだろう。衰退期に入っているニッポンは、大恐慌を契機に坂道を転げ落ち、衰退に歯止めがかからなくなる。だが安倍が頼りにするアメリカに神通力はない。情報社会をリードする中国や、成長著しいアジアとの関係改善・強化の道しか生存空間は拡大できない。日米同盟基軸という「戦略」そのものの練り直しが迫られる。コロナウイルスについては、分からないことが多い。感染源もそうだ。生物学者の福岡伸一氏はある週刊誌の対談で「ウイルスは武漢から突然現れ、地震の揺れが伝わるように世界に拡大したように見えるが、それは誤解」。「武漢以外にもウイルスはいて、世界中を彷徨っていたのでは」と見る。「無症状感染者」が多く、本人も気付かぬうちに感染が拡大してしまうのも封じ込めが難しい特徴だ。デマ対応で重要なのは、受け手のリテラシー(真偽を見分ける力)である。しかしデマと分かっても、行列を作る「善男善女」の行動はいったいどう説明すればいいのだろう。(了)

 

 

オットット爺や

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