2020年3月-アメリカに初の社会主義政権?

民主党予備選で演説するサンダース

 2020年11月3日、米第46代大統領に史上初の社会主義者が当選した。78歳の民主党のバニー・サンダース上院議員で、再選を目指したドナルド・トランプ大統領を僅差で退けた―。もちろん空想だが、全く現実味がないわけではない。

 これが現実化するには、民主党予備選でサンダースが勝ち、本選でもトランプを破る2つの高いハードルを越えねばならない。サンダースは2月の予備選第2戦ニューハンプシャー州で、中道派の若手候補ブティジェッジの追撃をかわして勝利した。4年前の予備選で、ヒラリー・クリントンに肉薄した時と比べれば、支持率に陰りはみられるものの、彼は最後まで予備選を争うだろう。勝ち残る可能性はあるのだ。

 「社会民主主義者」を自認する彼の公約は過激に映る。「学生ローンはチャラ」、「国民皆保険」に「国民皆雇用」。財源は、富裕層や企業増税によって、10年で14兆ドル(約1540兆円)を確保する―等々である。

 アメリカの経済格差はハンパじゃない。最も裕福な1割が家計資産合計の7割を占める。

 医療費は日本の3倍、約7割の学生は平均3万ドル(約310万円)の「学生ローン」を抱え、就職後は返済に苦しむ。日本も同じだけどね。

 いま多くの選挙で勝敗のカギを握るのは、世代別では20歳~40歳の「ミレニアル世代」。サンダース支持層も学生など若者や、貧困にあえぐ層だ。「アメリカに社会主義なんて、そんな極端な」と考える人もいるかもしれない。

 しかしサンダース流の社会主義は、「マルクス・レーニン主義」とは違う。「反格差」であり、公正な分配を主張する「社会正義」(ソーシャル・ジャスティス)である。米政治を振り返れば、ニューディール政策など「社会主義的政策」の伝統は一定の役割を果たしてきた。

 「極端」というなら、トランプ自体が極端そのものだろう。まるで「三流役者」がイリュージョニスト(手品師)を演じているようだ。メキシコ国境に壁を築き、イラン核合意や温暖化防止の「パリ協定」から次々と離脱、「悪の枢軸」のはずの北朝鮮の金正恩・労働党委員長と握手した。

 現実世界ではっきりしているのは、第二次大戦後に米国が主導してきた、民主と自由貿易を基礎に軍事、経済、価値観のすべてでリーダーシップをとる秩序が崩壊したこと。サンダース政権になれば、大きくスイングした「振り子」はまた大きく振れるように見えるかもしれないが、米一極主導の秩序は取り戻せない。

 こんなことを思いついたのは、韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が、外国語映画で初めてアカデミー作品賞を獲得したのがきっかけ。全員が失業中の一家が、隣の裕福な家庭に巧みに寄生していく物語。授賞は、格差に窒息寸前のアメリカ社会の気分を代弁している。そういえば「#MeToo」(ミートゥー)も、2年前のアカデミー授賞式を機に盛り上がった。(了)

オットット爺や

関連記事

コメントは利用できません。

アーカイブ

ページ上部へ戻る