マレーシア最新芸術事情 2017年6月-マレーシアの国際映画祭

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マレーシアの国際映画祭

マレーシアでは、海外の作品が日本の公開よりもずっと早く上映されること、そして何よりも鑑賞料が日本に比べると激安(日本での通常料金1,800円のところマレーシアでは15リンギ前後)なので、より気楽に映画を見る環境が整っているといえるかもしれません。
ただ、「映画祭」となるとどうでしょうか? 日本では大規模な国際映画祭から、地域やテーマを絞ったプログラミングのものなど、北は北海道から南は沖縄まで、毎年100を軽く超す数の国際映画祭が開催されています。東京国際映画祭や大阪アジアン映画祭をはじめ、数々の日本の映画祭でマレーシア映画も上映されています。
しかしマレーシアには、継続して開催されている国際映画祭というものは本当に少なく、また、規模も非常に小さいものです。今年初めて行われた「マレーシア国際映画祭」と呼ばれた映画祭は、プログラミングも他人任せ、結局はビジネス目当てでゲンティンハイランドに香港の有名な大物俳優を集めるための言い訳として開催したのよね、と思わせるようなひどい内容。クロージング映画として上映予定だったカンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞受賞作である深田晃司監督の『淵に立つ』に至っては、上映用素材に不具合が生じて結局上映できなかったという始末。「クローズできなかった映画祭」という落ちが付いてしまいました。
そんななか、5月11日から4日間開催された「SEA Shorts Film Festival」は、東南アジア各国からの選りすぐった計100本以上を集めた、短編作品の映画祭。各上映プログラムのプログラマーや審査員も、この地域のインディペンデント映画界で知られた人たちが名を連ねました。そのフェスティバル・ディレクターは、自身も映画監督として知られるタン・チュイムイ。少人数の若いスタッフたちと一緒に彼女が作り上げたこの映画祭のオープニングは、決して大きくも華やかでもないけれど、映画を愛する人々の温かい思いを感じることができる素敵な場でした。そう、やっぱり愛がないと。そうでなければこんな膨大な作業を必要とする映画祭なんてやっていられないと思うのです。
そしてやはり一番の課題は集客。マレーシア人の観客が、もっと異なる種類の作品を受け入れられるように育っていくことが、今後の映画祭の実施と存続に大きく結びついていると改めて感じたのでした。

 

アティカ

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