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マレーシア最新芸術事情 -2021年7月 最近のマレーシア映画事情
- 2021/6/30
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2000年以降、たくさんの独立系マレーシア映画が海外の国際映画祭で上映され、後にそれが「マレーシア新潮」として捉えられるようになりました。近隣諸国の作品とは異なり、多民族・多言語が当たり前のように行き交うマレーシアの日常を映し出した作風や、国内初のデジタル作品を撮ったアミール・ムハマド(Amir Muhammad)やジェームス・リー(James Lee)を筆頭に、バーナード・チョウリー(Bernard Chauly)、ホー・ユハン(Ho Yuhang)、タン・チュイムイ(Tan Chui Mui)などの監督たちによる、制作時の協力体制もその大きな特徴の一つでした。
残念ながら、彼らの海外での成功とは裏腹に、映画館側の商業的な理由や、作品上映前に義務付けられている検閲などの理由から、マレーシア国内では彼らの作品が上映されることはほとんどなく、自国からの大きなバックアップを得られないことも原因だったのか、彼らが生み出したその「マレーシア新潮」は、いつの間にかとても穏やかな波へと変化し、過去の栄光と捉えられることも多くなっていきました。
そんななか、最近になってうれしいニュースをちらほらと耳にするようになりました。 映画界を退き、出版社を立ち上げたアミールは、数年前にホラー専門の制作会社を設立し、映画館に溢れる安っぽいコメディ・ホラーとは一線を画した良質なホラー映画を制作。昨年劇場公開された『ROH』(Emir Ezwan監督)は現在Netflixで人気の作品です。
長編作品が待ち望まれていたタン・チュイムイは、自らを主人公に『Barbarian Invasion/野蛮人』という監督作品を発表。結婚を機に一度は引退した女優が、離婚後再起をかけてアクション映画に取り組むというストーリーで、6月13日に上海国際映画祭のコンペティション部門で世界初上映となりましたが、評判は上々のようです。
また先月号のセニョ~ムでインタビューが紹介されていたエドモンド・ヨウ監督は、「マレーシア新潮」の後の世代ですが、2018年に東京国際映画祭で監督賞を受賞した後はさらなる追い風を受け、吉本ばなな原作、小松菜奈主演の『ムーンライト・シャドウ』がこの秋日本で公開予定となっています。
今後のマレーシア映画人の活躍を更に期待すると共に、彼らが作品と共に海外を飛び回れる日が早く戻ってくることを切に願っています。
アティカ プロフィール
あっという間に在マ歴18年。外見も中身もだいぶマレーシア化してきている自分に驚かされている…
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