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マレーシア最新芸術事情 -2021年10月 クリエイティブ産業の活動再開
- 2021/10/1
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皆さんご存じのように、6月に発表されたコロナ禍における「国家回復計画」によれば、全国の新規感染者数が1日4,000人以下になったところでフェーズ1からフェーズ2へ移行、2,000人以下でフェーズ3,500人以下でフェーズ4に入ると。映画館や劇場その他文化施設の営業再開はフェーズ4に入ってやっと許可される予定でした。しかし、7月にはフェーズ2に移行するはずが、新規感染者数は連日2万人を超えるような状況に。観客を入れた興行のみならず、映画の撮影や舞台のリハーサルなども多くが無期延期となり、芸術関係者にとっては、どこまで行っても光が見えてこない真っ暗なトンネルを歩いているような日々が3ヵ月以上続きました。
ところが9月6日、各方面からの訴えが功を奏したのか、フェーズ1のクアラルンプールやスランゴール州さえも含めた全土で、各施設の営業をはじめ、クリエイティブ産業における活動が9月9日より条件付きで可能となるとの発表がありました。相変わらずのぎりぎりなタイミングでの発令に、各機関・団体は急ピッチで再開への準備を進めましたが、その動きは前回と比べるととても慎重であるように見受けられました。
昨年、ロックダウン後に運営再開をした映画館や劇場は、SOPを忠実に守るべく資産を投じて環境を整え、毎回消毒も欠かさずに、一つのクラスターも出すことはありませんでした。しかしその努力が泡と消えるかのように再び休業へと追い込まれたその苦い経験から、久しぶりの再開を喜ぶ一方で、また逆戻りすることになってしまったら…、という強い強迫観念を抱いているからゆえの慎重さなのではないかと個人的には捉えています。
マレーシアの文化芸術を司る省庁は観光芸術文化省。その語順が示す通り、政府側のプライオリティは観光にあります。昨年最初にロックダウンになった際のテレビインタビューで、アートコミュニティに対する支援について聞かれた同省大臣は、工芸とホテルのラウンジで演奏するミュージシャンについて言及したのみ。
今回発表のSOPにもホテルのラウンジでのパフォーマンスが一つの項目として掲げられていて、思わず頭を傾げてしまいました。そんな狭い視野で動かれていたのでは関係者がいたたまれません。民間の努力が報われるよう、陰ながら応援していきたいと改めて感じたのでした。
アティカ プロフィール
あっという間に在マ歴18年。外見も中身もだいぶマレーシア化してきている自分に驚かされている…
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