マレーシア最新芸術事情 -2022年5月 ミッシェル・ヨーの女優魂

マレーシア最新芸術事情

ミッシェル・ヨーの女優魂

マレーシア出身で国際的に活躍する人と言えば、靴のデザイナーJimmy Chooや台湾ニューウェーブ第2世代の代表的存在とされる映画監督のツァイ・ミンリャン(蔡明亮)、そして最も広く知られているのは香港・ハリウッド映画女優のミッシェル・ヨーでしょう。

ミス・マレーシアに選ばれた後、サモ・ハン・キンポーに見出されて映画デビュー。その後『ポリス・ストーリー3』などのジャッキー・チャン作品のほか、数々の香港映画に出演。そして1997年に『007 トゥモロー・ネバ―・ダイ』でボンドガールに抜擢されてからはハリウッドに進出。近年ではシンガポールを舞台にしたハリウッド映画『クレイジー・リッチ』で演じていた主人公の婚約者の母親役が印象に残っている方も多いかもしれません。

そんな彼女の主演最新作『Everything Everywhere All At Once』を、先日劇場で見てきました。これがもう、なんというか、とにかくぶっ飛んでるんです。物語の舞台はアメリカ、彼女が演じるEvelynは恐らく2世の中華系移民で、中国語しか話さない実の父と優しい夫と自営のコインランドリー&クリーニング店の2階に暮らしています。税務署から必要書類の提出を求められており、机の上にレシートが山積みになっているところへ、英語しか話せない一人娘がガールフレンドと共に訪ねてきます。と聞くと、普通の家族の物語かな? という感じですが、ここまでで既にものすごい量の言葉のやり取りと体の動きがあります。そしてその後はどんどん不思議な世界に入っていくのです。それじゃあなんだか訳分かんないよ、と思われるかもしれませんが、実際訳が分からないんです。とにかくハチャメチャなのです。それでも観客はどんどん引き込まれ、2時間超の長さを感じさせません。

このところ、日本の人気テレビドラマの劇場版という映画を何本か見る機会がありました。確かにそれなりに面白くはある。でも、わざわざ映画にする必要はあったのか? 2時間の特番で良かったんじゃないの? という印象が残ったなか、『EVERYTHING~』はまさに映画でなければ作れなかった、そして劇場でなければ体験できなかった世界を作り上げていたと思います。

そして、全編ほぼノーメイクでアップだらけ、かつ訳の分からないシーンの多いこの作品の主演を引き受けたミッシェル・ヨーは、やはり器が違うのだといたく感心し、マレーシア人は誇りをもってこの作品を見るべきだと思ったのでした。

アティカ  プロフィール
あっという間に在マ歴18年。外見も中身もだいぶマレーシア化してきている自分に驚かされている…

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